四日市の“負の遺産”を“まちの財産”に―。1972年に原告側の勝訴判決が出た四日市公害裁判。その記録や、裁判を支えた市民の活動を伝えている市民活動団体が「四日市再生『公害市民塾』」だ。【語り部を務める伊藤さん=四日市市で】

 97年、判決から25周年を機に、公害記録家として知られる故・沢井余志郎さんが中心となり設立。四日市公害についての継続的な歴史学習を中心に記録・保存、語り部活動、公害資料館(四日市市安島、現・四日市公害と環境未来館)の設置に向けた取り組みなど、次世代につなげる取り組みを続けている。

 メンバーの伊藤三男さん(72)は、4月に同館を訪れた南山大学(名古屋市)総合政策学部の学生に向け、「語り部」として、70年ごろ通勤で利用した電車で感じた塩浜駅周辺の悪臭公害の様子などを語った。

 「産業発展を優先した結果、公害が起こった。現在の環境について考えるため、過去に起こったことに目を向けてほしい」と語る伊藤さんは「公害に対して裁判があり、その後に改善策が施され、今の四日市の環境が守られている。その歴史を財産にしてほしい」と願っている。

 「市民塾」の母体となった市民活動団体「四日市公害と戦う市民兵の会」が79年の第100号まで発行し続けた、訴訟の解説や患者の声をまとめた機関誌「公害トマレ」の全号と、沢井さんのインタビューを収めた市民塾制作のDVDが、同館1階図書コーナーで貸し出されている。

6月30日(土)午後1時から市民の集い

 四日市公害と環境未来館が6月30日(土)午後1時から開く市民の集い「公害トマレとその時代」では、市民塾のメンバーらがDVDの内容紹介、四日市公害とそれに対する運動などについて解説する。午前10時からはミニ展示もある。参加無料、申し込み不要。問い合わせは四日市公害と環境未来館TEL059・354・8065へ。