四日市西警察署桜駐在所(四日市市桜町)に勤務する櫻井芳継さん(39)は、劇団員として活動した経験を生かし、特殊詐欺の被害防止を目的とした寸劇で啓発活動に取り組み、好評を得ている。

 大学卒業後、当時目指していた声優の専門学校で学び、「声を出し演じることも大事」と演技の世界へ。CMのエキストラ出演などを経て、池内淳子さんや宇津井健さんらが出演した舞台「女たちの忠臣蔵」へも赤穂浪士役として出演した。

 転機は祖母が亡くなった27歳の時。両親が共働きで、祖母と過ごす時間が多かったため、「もっと恩返しがしたかった。これからの自分に何ができるか」と考えた時、警察官という道が浮かんだ。1年間勉強し、採用試験に合格した。

 採用後、櫻井さんの経歴を知った上司の勧めもあって寸劇に取り組み始めた。犯人とだまされる人の両方を演じるなど、劇団仕込みの表現力に、見ている人たちが引き付けられる。評判を聞いた人から依頼が来ることもあり、昨年度4回だった出演回数は、今年度は既に6回を数えている。

 同署生活安全課の井谷洋輔課長(36)は「会場の皆さんの反応と興味の持ち方がすごい」と評価。櫻井さんは「詐欺の手口は巧妙化してきているので、その時その時に応じた内容を伝えることが大切。これからも被害防止に役立つことをしていきたい」と熱く語った。

 同署管内では今年9月末現在、特殊詐欺9件で約1720万円の被害が出ている。このうち架空請求は4件で、同じく4件発生したオレオレ詐欺は被害者が全員70歳以上だった。