被爆ピアノのコンサート、平和の音色に思いを、8月24日に四日市で

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【原爆ドームを背景にした被爆ピアノ=矢川さんの工房のホームページから】

 広島の原爆投下で被害を受けた「被爆ピアノ」を使う「平和の音色 被爆ピアノコンサート&映画上映会」が8月24日、三重県四日市市安島2丁目の第一楽器四日市店のコンサートホールムーシケで開かれる。広島の被爆二世の調律師、矢川光則さんが調律を施して修復したピアノの音色から、平和について何かを感じてほしいと企画された。広島では8月6日、79回目の「原爆の日」を迎え、平和記念式典が開かれた。

 コンサートを主催するのは株式会社第一楽器で、服部勝彦社長が昨年10月、広島を訪ね、四日市でコンサートを開きたいと矢川さんに協力を求めた。矢川さんはこれまで、北海道から沖縄まで1500カ所以上の場所へ被爆ピアノを貸し出し、自らトラックに積み込んで走ってもきた。その多くは「平和学習」の一環での学校訪問で、国内にとどまらず、米国ニューヨークやノルウェー・オスロでのノーベル平和賞コンサートでも演奏されたという。

各地で開かれてきた被爆ピアノのコンサート=矢川さんの工房のホームページから

 矢川さんは1952年生まれで、1993年にヤガワ楽器調律センターを開業。2年後、ピアノ工房を建設したのを機に古いピアノの再生をし、福祉施設などに寄付する活動を始めた。その中で被爆ピアノと出会い、自ら調律を施し、音色を取り戻したピアノでのコンサートを2001年から始めたという。

矢川光則さん=矢川さんの工房のホームページから

 2010年には著書「海をわたる被爆ピアノ」(講談社)を刊行、被爆の惨状と平和の尊さを米国で訴えた故谷本清牧師の遺志を継承しようと創設された谷本清平和賞を2019年に受賞した。2021年には自らの工房に「被爆ピアノ資料館」を開設している。

 8月24日の当日は、午前10時から、被爆ピアノにまつわる実話から着想を得たオリジナル映画「おかあさんの被爆ピアノ」の上映会がある。五藤利弘監督、佐野史郎さんと、当時AKB48のアイドルだった武藤十夢さんのダブル主演の作品。入場料は1000円(全自由席)。

 被爆ピアノコンサートは午後2時開演。矢川さん自身による被爆ピアノに関する話と、名古屋市出身のピアニスト・作曲家の佐藤奈菜さんの演奏、小中学生による演奏などを予定している。こちらの入場料は大人2000円、高校生以下1000円(全自由席)。

 服部社長は「ぜひ、実際に被爆ピアノの音色を聴いてほしい。それによって、平和について少しでも思いをはせてもらえれば」と話している。チケットの問い合わせは第一楽器四日市店(059-353-7361)。第一楽器のホームページからの申し込みもできる。

被爆ピアノコンサートへの参加を呼びかける第一楽器の服部勝彦社長(右)ら=四日市市諏訪町