「学校に行きたくない」 その時、親は 受け止め方や対処法

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 うちの子、ひょっとして学校に行きたくないのかも……。そんな「登校渋り」に気付き、子どもとどう接すればいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。子育てや教育に関する悩みに対応する一般社団法人「子ども・子育て教育研究所」(通称・クペリ)の松永高弘代表=写真=に、受け止め方や対処のこつなどを聞きました。

――不登校に関する相談は多いのでしょうか
 私たちは、子育て全般の相談に対応する機関として今年4月に本格稼働しましたが、現状では不登校に関する相談がほとんどです。それほど、悩んでいる方、どこへ相談すればいいのか分からなくて困っている方が多いのだと実感しています。

――相談を受ける中で感じることは
 私は、子どもの成長には「幼児期の親子形成」が重要だと考えています。特にスキンシップなどが大事です。愛着不足の子は、不登校やいじめという形で表れやすいです。

 逆に、「あれはダメ。こっちにしなさい」などの過干渉・過保護も気になります。場合によっては指示がなければ動けない、「自己決定ができない子」に育つ恐れがあります。

 また、幼児期に手がかからなかった子の中にも、自己決定のできない子が目につきます。それは「親の期待に応えること」に喜びを感じ、自分の意志より親が喜ぶことを優先してしまうからです。

――自己決定ができないことと不登校との関係は
 自己決定ができない、ということは、常に受け身で、自分で判断することが苦手です。自己肯定感はもちろん、〝自己〟そのものが育ちません。自我が形成される小学校高学年ごろに、自分では何も決められず不安に襲われるのです。それが登校渋りにつながっているようです。

――どういった対策が考えられますか
 私たちが提案するのは「幼児期の育ち直し」、すなわち、親とのスキンシップや対話によって愛情を感じさせていくことです。中学生でも、幼児期に戻ったように添い寝をしたり、絵本を読んだり、ひざの上に座らせるのも良いでしょう。対話する時には背中に手を当てるだけでもほっとして落ち着きます。

 また、毎日「○ちゃんタイム」を持つこともお勧めです。1日5分程度、お子さんと2人きりでゆったりと向き合い、心落ち着く時間を過ごします。お子さんのリクエストに応えてあげると、親子の心がつながり、落ち着き、満ち足りることでしょう。

――ちゃんとできるか不安です
 決して「良い親」を目指さないで! 失敗しない親はいません。たまには親のダメな部分を子どもに見せてもいいじゃないですか。ありのままでいいのです。

 中学生の親は、特に進学先で悩みます。全日制だけでなく定時制や通信制など、選択肢はたくさんありますし、もちろん高校以外の道もあります。親の価値観や世間体は捨てましょう。子どもが中心、我が子がどう生きていくのか、その選択をじっくり待ち、応援してあげましょう。

 親の不安は子どもに伝わります。抱え込まず、頑張り過ぎず、助けを求めてください。必ず道は開けていきますよ。

YOUよっかいち8月8日付186号6面から

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