食を整え心と体育む 豆富や 片岡さん

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 豆腐を作って110年、大正元年創業の四日市市城山町の「豆富や 片岡」の片岡学さん(55)と小百合さん(55)は、伝統の製法を受け継ぎながら、新商品も開発している。
 
 創業前は井戸の建設をする「井戸屋」。大正の初めに、その水を使って豆腐作りを始めた。先代は時代に合わせ量産し、スーパーに出荷。四代目となる片岡さん夫妻は10年ほど前に、こだわりの質のいい豆腐を作ろうと方針転換。素材を生かした製法で作る豆腐と飲食店や顧客に直接配達。顔の見える関係を大切にし、リピーターを増やしてきた。
 
 三重県産大豆「福豊」を使った豆腐やうの花サンド、白和えの素など、様々な商品を製造。「食を整え健康な心と体を育むことを伝えたい。そのため安心安全な商品を、責任を持って届ける」という思いだ。豆乳をかき混ぜ流れを作り、一気ににがりを入れる「にがりを打つ」作業は、学さんだけがする熟練の技だ。店頭販売は水曜日のみ。曜日ごとにエリアを決め、注文を受け配達する。薬膳や麴(こうじ)について学び、自然農法の野菜生産者や製菓店などとつながり、かぶせ茶豆腐や豆乳ヴィーガン生チョコ、うの花クッキーなどを共同開発している。

 小百合さんは「旬の野菜や魚などと合わせて、季節のお豆腐料理を楽しんでほしい」と笑顔で語った。問い合わせは同店TEL:059・331・4303まで。

※2022年4月2日(206号)発行 紙面から