三重県の四日市市議会は6月30日、今議会最終日で、中央通り再編に関連する工事に市単独で事業費を付ける補正予算案など23件を原案通り可決、市民グループから提出されたPFAS汚染の実態把握を求める請願を賛成少数で不採択とした。議員発議による「四日市市中小企業・小規模企業振興基本条例」の制定についても可決した。
〇賛成12、反対21
PFAS(有機フッ素化合物)による河川の汚染などを調べてきた市民グループ「四日市公災害市民ネット」が提出した請願は、前年度の議会で、再三、審議期間を延長して採択の是非を判断せず、結局、会期切れになって廃案になった。5月に正副議長、常任委員会の顔ぶれが変わり、あらたな体制でスタートした6月議会に同市民ネットが再度、請願を提出。今回は委員会で審議期間の延長はせず、賛成少数で不採択の意思を表示、この日の本会議でも賛成12、反対21の賛成少数で不採択が決定した。審議をしない状態からは一歩進んだものの、市民グループに対しての壁は厚かった。
本会議の討論では2人の市議が、採択に賛成する立場で意見を表明。「健康被害が出る前に厳しい目で見ていく必要がある」「市民の健康被害を防ごうとする請願に賛成しないことが理解できない」とする指摘をした。
〇諏訪公園の着工は遅れ
中央通り再編については、国の直轄事業として「バスタ」(新バスターミナル)の建設が進められているが、これに関連する市の事業に、国の補助金が満額では付かなかったため、同時に進めなければいけない工事に市単独で事業費を付ける補正予算案が審議された。この中では、今年度にスタートする予定だった諏訪公園の改修工事の着工を遅らせて、すでに工事が始まっている鵜森公園に事業費を回すやりくりもした。
〇議員発議による中小企業など振興の条例
中小企業・小規模企業振興基本条例は、2023年12月の一般質問で、市議から条例の必要性を問われた市側が、理念型の条例を制定して、それに基づいて施策を進める考えがあることは理解しているが、四日市市の産業構造の特徴から、大企業も含めた検討が必要で、市の最上位の方針である「総合計画」に振興施策はすでに定められているため、総合計画に基づいていけばよいなどと答弁したため、市議が反発し、議会発議での制定を目指した経緯がある。