管理の役割不明確、止水板は人力は無理など課題列挙、国の地下駐車場検討委が中間とりまとめ

【会議の内容について説明する川口淳委員長(左)=津市の県総合文化センター】

 大規模な浸水が起きた三重県四日市市の地下駐車場「くすの木パーキング」について議論している国の「四日市市地下駐車場施設復旧検討委員会」が11月14日、津市内であり、中間とりまとめをした。災害時の管理者の役割が不明確な実態や、重量の大きい止水板を人力で設置する無理な想定など、8つの課題(その他課題含む)を列挙した。

あと数回の会議を経て最終とりまとめへ

 会議後、委員長の川口淳三重大学大学院工学研究科教授は、「今後の安全性向上の方向は中間とりまとめとして承認された。利用者の動きや周辺下水道の状況など引き続き調べなければいけないこともあり、あと数回、検討委員会を開いたうえで、年内には最終とりまとめをしたい」と話した。

 最終とりまとめでは、この駐車場だけでなく、全国の地下施設を視野に入れた内容にしていくことなども確認されたという。

中間とりまとめについて議論した検討委員会

数々のできていなかったこと

 中間とりまとめでは、気象情報が速やかに現場と管理者で共有できる体制ができていなかったこと、1枚40キロ以上の止水板を人力で運んで設置するという無理な想定になっていたことなどが課題として挙げられ、メールを使った連絡や止水板設置の自動化が必要だとした。

 防災計画が役割分担を明確にできていないこと、計画を確認するための防災訓練も管理者への参加要請がされないなど実効性に問題が指摘された。

 そのほか、地下駐車場が過去にも浸水したことがあることが利用者に周知されておらず、場内掲示などの検討が必要だとした。

 これら課題の数々について、記者から「やっていて当然のことが、なぜできなかったのか」との質問があったが、川口委員長は「会議の中で何度もそれを質問したが、結局、しっかりした答えはなく、分からなかった」と答えた。一方で、「仮にそれがすべて分かって、すべてのことができていたとして、今回の被害がすべて防げたかは分からない」とも話した。中間とりまとめは、三重河川国道事務所のホームページで後日、公開するという。

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