「PFAS汚染取り組みへの言及少ない」、四日市市長の回答を四日市公災害市民ネットが発表

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【PFASへの市長回答について意見を述べる四日市公災害市民ネットのみなさん=四日市市諏訪町】

 PFAS(有機フッ素化合物)の実態調査を続けている市民団体「四日市公災害市民ネット」は、汚染対策を求めた三重県四日市市の森智広市長への要望書の回答が届いたとして記者会見で発表した。多くの点で前向きな言及がなかったとしている。現在、「四日市市の宝の水をPFAS汚染から守ってください」のタイトルで署名を募っており、年明けには市に提出したいという。

 記者会見は11月19日にあり、松岡武夫さん、森下裕二さん、萩森繁樹さんの3人の代表世話人が説明した。市長の回答のほか、市議会各会派へのアンケート(公開質問状)の結果や、これまでの汚染調査結果、署名活動などについても説明した。

 森市長への要望書は10月17日付で提出したという。市全域の水環境のPFAS汚染実態調査を国の動きを待つことなく速やかに行うことや、調査項目にPFOS、PFOAだけでなく、代替物質として利用が広がっているPFAS8物質や7H-C7などのハイドロPFASも含めること、水道水のPFAS汚染レベルは兵庫県明石市を参考に、市独自で10ng/L(国の暫定目標値は50ng/L)に抑制すること、市民に向けた総合相談窓口を設けること、などを求めたという。

 森市長の回答は、法に基づいての常時監視を実施しており、環境省の動きに即して調査地点を増やしたりし、必要と判断した場合は上流部にさかのぼって追加調査していること、水道水についてもPFOS、PFOAの検査をし、すべてにおいて国の暫定目標値を下回っているなどとして、今後も法や国が示した方針に基づいて適切な対応をしていくと結んでいるという。

 この回答について市民ネット側は、三滝川水系の矢合川上流の元産業廃棄物処分場の近くで、市民ネットが指摘した高濃度のPFOA汚染を市も再確認したものの、その結果に対する市の見解や対応がないことは、汚染に向き合おうとする態度ではないと批判した。代替物質の調査についても市は全く触れず、総合相談窓口の設置についても、従来通りの各担当窓口での個々の対応を変えようとしておらず、適切な対応ではないと批判した。

 市議会各会派へのアンケートでは、全部の会派からの回答は得られなかったものの、市民ネットが提出したPFAS汚染に対する請願が市議会で審議が尽くされない中で廃案になるなどした経緯について、市議の中にも批判的な意見があること、PFAS汚染について、法令の制定を待つことなく、市の判断で迅速に対処方針を出して取り組むべきだと考える市議もいることが分かったという。

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