昨年12月、死産した赤ちゃんのために、高校生が作った棺と布団を医療現場へ届ける活動を続ける看護師・洲上雅子さんを取材した。記事をYOUよっかいちのウェブサイトに掲載し、記者のインスタグラムでも紹介したところ、閲覧数は140万回を超えた。その反響の中、「赤ちゃんのおくるみに使ってほしい」と真綿の寄付を申し出る声が届いた。
インスタ投稿から始まった思いの連鎖
インスタグラムに投稿し5日ほど経ったころ、長野県の田端智子さん(50)から1通のダイレクトメッセージが届いた。
「真綿を作っているので、無償で提供したい。赤ちゃんの布団に使ってほしい」。その思いを洲上さんに伝えると、「ぜひ受け取りたい」と喜び、両者はつながった。

養蚕を続ける田端さんが抱えてきた願い
田端さんは10年ほど前、趣味で養蚕を始めた。
5年ほど前、友人の女性が死産を経験。その際、赤ちゃんの遺体は段ボール箱に収められ、女性は病院の裏口から人目を避けるように帰ったという。女性は「この子に最初で最後の最高のプレゼントとして、あなたが作った真綿とシルクを使ったおくるみで天国に送りたかった」と田端さんに語った。
その後、田端さんは試行錯誤を重ね、亡くなった赤ちゃんのためのおくるみや布団を制作したが、届ける機会はなかった。

洲上さんの活動は、補助金などに頼らず続けている。保温性や保湿性に優れている真綿の「無償提供」は、活動の大きな支えとなる。

四日市での対面と託された手紙
2月17日、四日市市内で両者の対面が実現し、真綿が手渡された。田端さんは本業の傍らライターとしても活動しており、死産を経験した母親へ宛てた手紙も洲上さんに託した。
「すぐには読めないかもしれない。それでも、いつか心が落ち着いたときに手紙を開く日が来たなら、その思いを聞かせてほしい」
もし母親から声が寄せられたなら、その思いを大切に受け止め、絵本という形で残したいという。同じ経験をした人が「ひとりではない」と感じられるように。

布団は県立四日市農芸高校の服飾経営コースの生徒が制作し、洲上さんが提携先の産婦人科に届け、必要に応じて補充している。
おくるみや布団、そして手紙が、深い悲しみの中にいる母親の手元に届いた時、わずかでも心が和らぐことがあればと願いながら、活動は静かに続いている。
小さな行動がつないだ支えの輪
県立四日市中央工業高校木工部のインスタグラム投稿がきっかけで取材が始まり、記事が公開され、思いがつながった。ひとつの発信が誰かの行動を生み、その行動がまた別の誰かを支える。
その連鎖が、悲しみのただ中にいる人の孤立を少しでもやわらげることを、関わった人たちは願っている。
田端さんはインスタグラムhttps://www.instagram.com/silk_creator/?hl=ja#で、情報発信している。









