三重県四日市市の県立総合医療センターで3月14日、がん市民公開講座が開かれ、ZOOMによる同時配信もし、多くの人が聴講した。今回は「緩和ケアとトータルペイン」がテーマで、4つの側面をセンターの医師や看護師ら4人の講師が解説した。
がん市民公開講座はセンターが年1回開催しており、今回で18回目。トータルペイン(全人的苦痛)は、緩和ケアの根幹的な概念といわれ、がん患者の終末期に身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルペインの4つの苦痛が相互に関連して生じる複合的な苦痛だとされる。
からだの痛みが気持ちの痛みにもなり、仕事ができないなど経済的な痛みも伴い、やがて自分の価値を否定してしまうなど、自分らしさを失ってしまうといった相互関連が起きているという。

最初の講師は呼吸器内科医長の児玉秀治さんで、「いたみと治療」と題して話した。トータルペインの概略と、身体的苦痛を和らげる薬剤について説明した。医学が発達していない古代から長い間、ケア(介護や世話)が中心だったが、医療技術や薬の開発でキュア(治すこと)が主になり、人が人らしく人生を送ることが大切にされるようになった今は、また、ケアが重要なテーマになってきている流れも紹介した。

地域連携部患者支援センター医療福祉相談室室長の今出雅博さんは「心のケア」が演題。「心とからだはつながっている」として、病気になっても好きなことをして、心を自由に、自分を大切にすることを勧めた。家族や知人には、本人がどうしたいのかを聞き、病気以外の話をしてあげることや、何よりも一緒にいて、寄り添ってあげることが大切だと話した。
同支援センター入院後支援室メディカルソーシャルワーカー(MSW)の北山智美さんは「生活とお金」がテーマ。医療費に悩むなどの社会的苦痛を取り除くため、高額療養費制度について解説した。がんになったからと、すぐに仕事をあきらめないでと勧め、支援センターでは就労支援もしていることなど、幅広い応援体制をとっていることを紹介した。
最後は看護部がん看護専門看護師の酒井美紀子さんが「患者さんとの関わり」の題で話した。やり残したことがある、家族のことが心配、自分のことが思うようにできない、といった、思うようにいかない悩みで自分らしさを失う状態がスピリチュアルペインで、酒井さんは、患者さんが何を乗り越え、何を伝えようとしているかを知ろうと向き合っていると話した。元気なうちから自分(あなた)の将来のことを家族や医療スタッフらと話し合う「人生会議」についても紹介した。









