10代の瑞々しい感性で“いま”を切り取る、海星高校(三重県四日市市追分)写真部の生徒たち。仲間や風景をファインダー越しに見つめ、作品として仕上げた写真は、コンテストでも高く評価されている。
部員は3年生6人、2年生6人、1年生8人。ほとんどが、入部するまで本格的なカメラに触れたことのない初心者だった。
撮影はまずスマートフォンから始め、学校内や県外での撮影会を通じて「撮る楽しさ」を知る。顧問の清水達也教諭や経験者の助言を受けながら腕を磨く。
清水教諭は縦位置写真を撮ったら、次は横位置写真。さらに露出を変えて撮るなど、光を意識して、たくさん撮ることを勧める。技術的なことよりも、生徒自身の感性や感覚を優先する。「高校生という3年間だからこそ撮影できる、友人や学校生活をテーマに撮ってほしい」と話す。初心者の部員は、慣れてきたころに一眼レフを手に作品づくりへと進む。
多彩なタイトルが語る物語
人物撮影では、同じ被写体をそれぞれの視点で撮り比べることもある。「どの角度が、その人らしさを引き出せるか」。意見を交わしながら試行錯誤を重ねるうち、初心者だ った部員も数か月で一眼レフを使いこなせるようになるという。

前部長の中野友惺さん(3年)は鉄道好きで、中学生のころから一眼レフで撮影を続けてきた。部員からアドバイスを求められる存在だが、コンテストでは鉄道写真が評価されにくいと知り、仲の良いクラスメイトをモデルに撮影した。体格のいい男子生徒を青空の下で捉えた一枚を「青空の下のヒーロー」と題し、昨年の三重県高等学校写真連盟新人写真コンテストで金賞を受賞した。

中島光海さん(3年)は、学校の廊下を全力で走る一瞬を逃さなかった。「遅刻、遅刻―!」と題した動きと緊張感ある作品は、同連盟秋季コンテストで銀賞に輝いた。
夏には花火の撮影にも挑戦。花火大会は同じ日に複数の市町で行われるため、撮影の機会は限られるが、鳥羽みなとまつりの花火を捉えた写真が、まつりの事務局公式Xのプロフィール画像に採用された。

西出莉瑚さん(2年)は友人と自撮りした写真で、背景の青さに対して自分たちの顔が赤く写ったことに着目。恋をして頬が染まった表情のように見えたことから「恋する予定の乙女達」と名付け、新人コンテストで銅賞を受けた。

梛直秀さん(3年)は、柔らかい金属フィルムの鏡に映る自分自身をリモコンで撮影。歪んだ像に、多感な高校生の揺れ動く心を重ね、「心象パレット」と題した作品で秋季コンテスト金賞を獲得した。
昨年はこの4人の作品が全国高等学校総合文化祭に出場。部としては全国大会への出場が5年連続となり、県内でも名の知れた“強豪”写真部である。
友達の思い出を託される、写真部ならではの役割
文化祭や体育祭では、写真部が公式記録を任される。一般生徒は行事に集中するため撮影は禁止されており、「あの人と一緒に撮ってほしい」「好きなあの人の写真を残してほしい」と友人から声を掛けられることも少なくない。
笑顔、緊張、躍動、そして何気ない日常。学校生活の一瞬一瞬を残す役割を担いながら、部員たちはその時にしか撮れない表情と向き合う。二度と戻らない“いま”を、静かにすくい上げている。









