マンモグラフィ検診で、がんを見つけにくい乳房がある。乳腺濃度の高い「高濃度乳房(デンスブレスト)」だ。マンモグラフィでは、脂肪は黒く写るのに対し、乳がんも乳腺も白く写るので、乳腺濃度が高いとがんは判別しにくくなる。しかし自治体の乳がん検診では、高濃度乳房のために「判別困難」であっても「異常なし」と通知することが多いという。そうした状況を変えようと、国に乳腺濃度の情報開示を求めるなどの活動を進める医療ジャーナリストの増田美加さん(55)に話を聞いた。

―「高濃度乳房」について情報発信するようになったきっかけは何ですか
 増田さん 定期的にマンモグラフィを受けていたのに、進行した乳がんが見つかったという声がたくさん寄せられるようになりました。がんが見落とされた理由の一つが「高濃度乳房」かもしれません。乳房はマンモの画像診断で「脂肪性」「乳腺散在」「不均一高濃度」「極めて高濃度」の4つに分類され=右下図、このうちの「不均一高濃度」と「極めて高濃度」を「高濃度乳房」と呼びます。一部自治体のデータによると、40歳以上の約40%がマンモでがんを見つけにくい「高濃度乳房」だと分かっています。高濃度乳房の場合、脂肪性の乳房に比べて乳がんの発症リスクもやや高いという問題もあります。

―2016年、厚労省に「高濃度乳房」の通知に関する要望書を提出されました。自治体のマンモグラフィ検診で「高濃度乳房」と診断された場合、結果を「異常なし」ではなく「判別困難」である旨を通知してほしいと
 増田さん 自治体の検診では、マンモ画像診断の4分類を判定しています。しかし現状では受診者にはほとんど伝えられていません。要望の後、国は検討会などで議論していますが、伝えた後の体制が未整備であることなどを理由に通知には慎重な意見も出ています。
 しかし、体制が整うまでには10年20年という時間がかかります。その間、検診を受けている人はどうしたらいいのか……。せめて「異常なし」ではなく「判別困難」と伝えて欲しいのです。私たちには自分の身体を「知る権利」があると考えるからです。

―では実際に、自分の乳腺濃度を知りたい場合どうすればいいでしょう。そして、高濃度乳房と分かった場合は
 増田さん 「私は高濃度乳房ですか?」と質問してみてください。結果が通知された後、問い合わせることもできますし、医療機関で検診を受け、説明を聞く機会があれば、その場で質問できるかもしれません。高濃度乳房だった場合は、自己負担になりますが、マンモに超音波検査を加えるという選択肢もあります。マンモと超音波の併用は、マンモ単独の約1・5倍がんが見つかるとのデータもあります。
 ただ、超音波にもデメリットがあります。超音波はマンモに比べて、治療の必要のない良性の変化を拾いすぎるため、乳がん検診後の精密検査が増えてしまう可能性も。超音波を組み合わせる場合は、これらのことを理解して行いましょう。また、検診は100%ではありません。見落としも起こります。ですから日ごろからのセルフチェックも大事。検診で異常なしでも、セルフチェックで普段と異なることがあったら乳腺外科を受診してください。

―まずは、自分の乳房のタイプを知り、その上で自分に合った検診の方法を考えるということですね
 増田さん 乳腺濃度は私たちの個人情報です。米国では既に、多くの州で高濃度乳房の告知が義務付けられています。乳がんが増える中、私たちは多くの情報を得て、自分の身体を守るためにはどうすればよいかを自分で考える時期に来ていると思います。

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 増田美加さん 医療ジャーナリスト。NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク」副理事長。女性誌などでヘルスケアや女性医療について連載する他、テレビ、ラジオにも出演。著書に「医者に手抜きされて死なないための患者力」など多数