トンボ愛が結んだ“友情” 年齢差50歳 互いに教え合う仲

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 「目や体の色が鮮やかで、飛ぶ姿が格好いい」。トンボを愛する四日市市天カ須賀の水谷洋稀君(10)と菰野町菰野の矢田栄史さん(62)は、熱くトンボを語り合う50歳差の友人だ。メールで情報交換したり、観察場所へ出掛けたりするなど、交流を深めている。【コヤマトンボを見つけ、矢田さん(右)に報告する水谷君=菰野町千草の県民の森で】

 矢田さんは「日本野鳥の会三重」の会員で、25年前から三重県民の森(同町千草)へ通い、野鳥やトンボ、チョウなどを観察している。定年後は毎日のように出掛けて趣味を楽しみ、北勢地域で開かれる自然観察会で講師を務めることもある。

 2人が出会ったのは今年3月。水谷君は父の文彦さん(44)と県民の森をよく訪れていて、トンボ池で水生昆虫のタイコウチを捕まえたある日、近くにいた矢田さんから「写真を撮らせて」と声を掛けられた。翌日、また同じ場所で矢田さんと出会い、メールで情報交換する仲になった。

観察報告やクイズ 愛好家の仲間入り

 矢田さんからは毎日のように「オニヤンマ3つ羽化しています」といった観察報告やクイズが届く。時には友人のネットワークを駆使して、疑問に答えてくれるそうだ。

 水谷君は6月9日に県民の森であった自然観察会に参加した。ちょうどその朝、自宅で羽化したギンヤンマを連れていくと、矢田さんが「トンボに詳しい水谷君です」と皆に紹介。水谷君は緊張しながら羽化の様子を話し、愛好家の仲間入りをした。

 矢田さんから刺激を受けて図鑑などで詳しく調べるようになり、ますますトンボに情熱を注ぐ水谷君。夏休みの自由研究のテーマにも「トンボ」を掲げ、「日本一美しいと言われるマルタンヤンマを見つけたい」と目を輝かせる。矢田さんは「自分も彼からたくさん教わっている。今のまま自然に興味を持ち続けてほしい」とほほ笑んだ。