【ピンクリボン】治療と仕事 職場でもサポートを 「がんと診断されても焦らないで」

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 40、50代の働き盛りの女性に多く見つかる乳がん。しかし近年、病期(ステージ)Ⅰであれば9割以上が治ると言われており、「がん=死」ではない。「乳がんになったからといって、すぐに仕事を辞める必要はありません。職場の人も治療について理解を深め、両立できるようサポートをしてほしい」。そう話す、ひなが胃腸内科・乳腺外科(四日市市日永)の久野泰院長に治療法や仕事との両立などについて聞いた。

―乳がん治療の流れを教えてください
 久野院長 乳がんと診断がつくと、MRIやCTなどの検査を外来で行ってから入院となります。入院期間は施設や手術方法によって違いますが、最短で2泊3日、長くても1、2週間が多いです。術後に行う薬物療法や放射線治療を決めるためには、手術で切除した組織を病理検査に出します。結果が出るには約3週間かかります。薬物療法には、ホルモン療法、化学療法、分子標的療法があり、どれも外来で通院しながら行います。

―薬物療法をしながら仕事はできますか
 久野院長 問題となるのは化学療法(抗がん剤治療)でしょう。1週間か3週間ごとに点滴を投与するサイクルを3か月間または6か月間続けます。副作用として、吐き気や脱毛、白血球の数が減る骨髄障害などがありますが、最近では、吐き気は抗がん剤専用の制吐剤で抑えることができます。
 化学療法を継続している間は仕事を休む人も多いですが、「働きたいけど、行っていいですか」と私たちに聞く人もいます。吐き気や倦怠感は最初の数日だけなので、そこを乗り切れば働ける人もいると思います。

―化学療法以外は
 久野院長 ホルモン療法では、のぼせなどの更年期症状が出る場合もありますが、比較的副作用が軽いので、通常の仕事はできるでしょう。若い方は飲み薬と、生理を止めるための注射を併用することがあります。注射を打ったからといって安静にする必要はありません。
 他に、分子標的療法は、3週間ごとの点滴を1年間続けますが、これは比較的副作用が少なく、仕事をすることは十分可能です。

―仕事をする上での問題は
 久野院長 職場で、誰にどの程度話すのかは問題になるでしょう。上司には話すでしょうが、同僚や部下にまでは言えない状況が多いのではないでしょうか。脱毛でかつらや帽子を使用することもあり、職種によってはプライバシーの問題もあるでしょう。

―治療に理解のある職場だといいのですが
 久野院長 治療のスケジュールを基に計画を立てて頂き、更に抗がん剤治療中で体調が悪い時には休むことができればいいですね。職場の人たちににも治療スケジュールを説明し、把握してもらえば協力も得やすくなると思います。職場にとっても、貴重な人材が1人でも欠けるのは困るでしょうから。

―治療と仕事をうまく両立していくには
 久野院長 職場の理解もありますが、抗がん剤の副作用の個人差が大きく影響すると思います。何ともない人もいれば、吐き気止めを使っても吐き気や倦怠感があり、薬の量を減らさないと続けられない体質の人もいます。

―乳がんと告知されたら
 久野院長 「がん」と診断を聞いただけで、いきなり仕事を辞めてしまう人も中にはいますが、まずは焦らないで継続する方法を考えてください。治療期間が長くなる場合もありますが、休業が必要になる期間は一部です。通院しながらでも仕事との両立は可能です。
 また、「何を食べたらいいですか」「運動してはだめですか」とよく聞かれますが、生活をあまり変えない方がかえって良いと思います。周りの人も普段通りに、体調の悪い時にはそっと手助けしてあげることが大切でしょうね。

講座と座談会 ぴありぼんカフェ

 8月24日(金)に開かれる、乳がん患者を対象にした講座&座談会「ぴありぼんカフェ『乳がん 治療と仕事』」では、久野院長が講師を務め、患者からの疑問にも答える。

 女性がん患者の支援に取り組むNPO法人「ワークスタイル・デザイン」(同市萱生町)が主催。他に、患者同士の座談会、人工乳房やケア帽子の展示相談もある。

 会場は四日市看護医療大学(同市萱生町)9号館2階の「サロンMIE」、時間は午後2時から同4時。参加無料。定員30人で、参加希望者は電子メール(info@wsdesign.org)、ファクス(059・340・9331)で同法人へ事前に申し込む。

 問い合わせは同法人TEL059・340・9330へ。