【地産地消 野菜を食べよう】 自然の声を聞きながら やま萩梨園

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 四日市市の県地区、下野地区は古くから梨の生産が盛んな地域で15軒ほどの梨園がある。同市下海老町の「やま萩梨園」の萩寿典さん(44)と妻の加奈子さん(44)は、猛暑の中、家族やスタッフと笑顔で作業に励んでいる。

 萩さんは大学卒業後、祖父の代から60年、梨の栽培と直売を手掛ける家業の梨園の仕事に就いた。子どものころから慣れ親しんだ仕事だったが、梨園も広くなった分作業も増え、ゲリラ豪雨に見舞われるなど想定外のことも多いという。加奈子さんは、銀行員から結婚を機に転職。暑さからくる疲労や肩こり腰痛に悩まされた。夫婦で悪戦苦闘したが、父の善隆さんの「楽しまんと仕事はできん」と趣味を楽しむ姿や、温かく見守ってくれることで、慣れていった。

 梨の受粉は手作業だが、最近の異常気象で、花の咲く時期が長くなり、今まで通りのやり方では通用しない。ひょうが降り、実を傷つけることもある。自然の影響を受けることが多く、その都度試行錯誤を繰り返す。

 農園では20品種ほど栽培し、9月下旬まで収穫が続く。直売所には長蛇の列、日陰に椅子を並べるなど、買いに来てくれる人への配慮も欠かさない。3世代で買いに来るなど、根強いファンもいる。早朝から作業し、親族やスタッフで準備するが、8月分の予約は満杯。9月の予約受付も一時的にストップしている。 

   萩さんは「自然の声を聞きながら、一つひとつの果実を大切に育てている。季節の味をぜひ楽しんで」と話した。

(2021年8月14日発行 YOUよっかいち第198号掲載)

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