「パリでメダルを獲りたい」 四日市出身・東京五輪マラソン代表の中村匠吾選手

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 「SNSなどを通して地元の応援を感じていた。万全の態勢を整えパリ五輪を目指す」――。東京2020五輪男子マラソンに日本代表として出場した四日市市出身で富士通所属の中村匠吾選手(29)が8日、四日市市役所に表敬訪問に訪れた。東京五輪を振り返ると共に、来年開かれる世界陸上と2024年のパリ五輪出場に向けて意欲を語った。【市役所を表敬訪問し、五輪での様子や今後の目標を話す中村選手=四日市市諏訪町で】

 2019年のマラソングランドチャンピオンシップでは、五輪後に引退した大迫傑選手をゴール直前に突き放し優勝し、五輪出場の切符を勝ち取った。今年元旦の全日本実業団駅伝 (ニューイヤー駅伝)では、区間2位の走りでチームを首位に引き上げ、優勝に貢献した。

  しかし、2月のびわ湖毎日マラソンは左腓骨(ひこつ)筋腱しょう炎で欠場し、5月に札幌で開かれた五輪テスト大会も左足甲の痛みで欠場するなど、故障に悩まされた。コロナ禍で上手く調整できないまま、五輪のスタートラインに立ち、62位でレースを終えた。

 暑さに強いという定評があるが駒澤大学在学中の2013年に東京五輪開催が決まったころから、暖房を効かせた室内でトレーニングをするなどの暑さ対策をしていた。五輪では足の故障がありながらも106人中30人が棄権する過酷なレースで、日本人2位で完走する粘りを見せた。ゴール後には涙ながらにサポートしたスタッフや応援してくれた人への感謝の思いを語った。

 五輪後1か月ほど休養し、足は完治。来年の元旦に開かれるニューイヤー駅伝に出場予定だ。また7月にアメリカで開催される世界陸上の出場を目指し、代表選考のための対象となるマラソン出場に意欲を燃やしている。24年のパリ五輪も「万全の態勢でスタートラインに立ち、メダルを獲りたい」を語った。

出身校の選手にエール

 中村選手は四日市市立内部中学校の出身で、2007年の三泗地区中体連の駅伝では区間1位で内部中を優勝に導いた。今年同中の男子チームは4位で、21日(日)に四日市市で開かれる県中学駅伝に出場予定。中村選手は「仲間と共に成長した経験が今につながっている。県駅伝も頑張ってほしい」とエールを送った。

 高校は県立上野工業高校(現伊賀白鳳高校)に在籍していた中村選手。当時の恩師の松尾政臣教諭は現在、県立四日市工業高校で陸上部の監督を務めている。また当時1年先輩だった後藤剛教諭も同部の顧問で、そのつながりから、同高が全国高校駅伝に出場を決めた際に、応援の品を差し入れするなど交流がある。中村選手は毎年県高校駅伝の結果はチェックしているそうで、今年は14日(日)に松阪市で開かれる。「四工と伊賀白鳳で切磋琢磨し、都大路を目指し頑張ってほしい」と話していた。