「私のコーヒーは脇役」 手焙煎珈琲あさぎ 山本将平さん(29)

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   祖父と力を合わせて作ったかまどで手焙煎したコーヒーを提供するのは、四日市市富田栄町で「手焙煎珈琲あさぎ」を営む山本将平さん(29)。大学卒業後、県外の不動産会社に勤務したものの、母や祖父の思いを胸に古民家を改装し、開業した。

   市内でカフェを営む母・明美さんの「思い入れのある父の土地で新たにカフェを開きたい」という思いを25歳の時に知った山本さん。祖父の中島吉明さん(81)は「将平が仕事を辞めて戻ってくるなら使っても良い」と条件を出した。それを聞いた山本さんは「白羽の矢が立った」と直感。色々なものを手放す決断が必要だったが「やるか」と決意したという。

    母と祖父の思いを胸に、開業への準備を開始。「SCAJ認定コーヒーマイスター」を取得し、建物を改装するなど開業に1年4か月がかかった。

   かまどは本で知識を得ながら山本さんが設計。元々は金属加工の職人でもの作りが好きな祖父と力を合わせ、四日市萬古焼の窯と同じレンガを使用し作り上げた。毎朝開店前に約3時間かけて手焙煎する。店名にある「あさぎ」は「控えめ」なども意味するそうで、「私のコーヒーはあくまで脇役。飲んだ人の生活が豊かになってほしい、そう思っています」と山本さん。

 祖父の願いには「地域の人が集まる場所であってほしい」ということもあり、ハンドドリップ講座などの催しも開催。また、店舗前は集団登校の集合場所でもあり、子どもたちにも馴染みのある場所となっている。

   山本さんは「コーヒーの知識は身に着けつつも、肩ひじ張らず柔らかい考えでありたい。気軽に飲んで楽しんでいただけたら」と笑顔で語っていた。