首里城火災の現場から文化財防火を学ぶ、四日市市と那覇市の消防がリモートで研修会

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 沖縄の首里城火災から文化財防火の教訓を学ぼうと、三重県の四日市市消防本部が1月24日、那覇市消防局とリモート回線を結び、研修会を開いた。幾つかの困難のなかで火災現場に急行した消防隊の苦労が肌で伝わり、四日市市側にとって、今後の予防体制を築く決意のきっかけになったようだ。【火災の様子などを聞く消防本部の職員ら=四日市市西新地】

 1月26日の文化財防火デーにちなんで、四日市市側から、現場からの教訓をと依頼した。那覇市消防局にとっても、県外へのこうした講演は初めてだという。会議の様子は四日市側の各消防署などにも回線で伝えられ、約80人の職員が参加した。

 那覇からは、警防課救助係主査の瑞慶覧長貴(ずけらんちょうき)さん、予防課第二機動査察係主査の渡慶次吉人(とけしよしと)さん、同課主幹兼予防係長の仲本興平さん、同課主幹兼設備指導係長の根間保成さんが講師になり、首里城の火災概要、消防隊の活動状況、火災後の防火対策や再発防止策の強化について語った。

 首里城火災は2019年10月31日未明に出火し、正殿など多くの施設が焼失した。計59台の消防車両、計242人で対応したが、深夜だったことで、首里城へ向かう間の門がすべて閉じられていたこともあり、これらを開錠して進むことで消防隊は苦しんだようだ。火災旋風による一時退避を迫られる場面もあったという。復元工事が始まっているが、再発防止策ではスプリンクラーの設置や自動の火災通報、連結送水管や消火水槽の充実、門の児童開錠装置などが検討されているという。