アートディレクター就任 「四日市の芸術文化、点から面へ」 油田晃さん

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 今年1月、四日市市文化会館・三浜文化会館で行う文化芸術事業の統括や企画運営を担う「アートディレクター」に、油田晃さん(49)が就任した。【意欲を語った油田さん=四日市市安島】

 2006年10月に津市上浜町の民間劇場「津あけぼの座」を開館、地方劇場シーンを牽引する役割を担い、県文化会館と協力し舞台芸術を使って地域文化の振興に取り組んできた経歴を持つ。油田さんに、同市の文化芸術をどのように舵取りしていくのか、展望と意欲を聞いた。

 油田さんは、テレビ番組のディレクター・構成作家としても活躍し、特定非営利活動法人パフォーミングアーツネットワークみえの代表理事として、長年舞台芸術制作の現場に携わってきた他、演劇技術を用いた表現教育の体験講座を開催するなど多岐にわたる活動をしてきた。アートディレクターに就任早々、まず同市文化会館の過去の事業を洗い出し「催事が多く充実している」との感想を抱いたという。

 「街として、文化的な可能性や潜在能力が高い。ただ、点として雑多に散らばっている印象。それを線、面に発展させるのが自分の仕事だと思いました」。

市民が楽しく交流、体験できる会館に

 23年度の会館主催事業は既に計画されており、油田さんが頭に描く同市の文化振興計画の実現は来年以降になる見通しだが、「市文化課・同会館それぞれと協働し、会館を単なる鑑賞の場でなく、市民が交流でき楽しく過ごせる体験の場にしていきたい」と意気込んでいる。「人間にとっての潤いである芸術が、多くの人に行きわたるよう尽力したい」

【四日市市文化会館・三浜文化会館 アートディレクター】四日市市が公共施設における文化事業全般の企画力や、コーディネートの向上を図るため、任期付市職員として募集。外部の視点と経験を生かした文化振興が期待されている。全国の自治体では、外郭団体が直接採用するケースが多く、市職員として雇用するケースは珍しい。

(2023年2月4日発行 YOUよっかいち第216号より)