サイバー攻撃の実態を専門家が解説、四日市でテロ対策パートナーシップの合同会議開く

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 四日市3地区合同テロ対策パートナーシップ定例会が2月9日、三重県の四日市南警察署で開かれた。サイバー攻撃を研究する専門家が攻撃の手口などを最新状況から解説し、企業などでの備えを促した。今年は6月にG7交通大臣会合が県内の志摩市で開催される予定で、出席した警察、関係機関、企業、住民が協力してテロを防ごうと意識をひとつにした。【サイバー攻撃の手口などを解説するトレンドマイクロ社執行役員の飯田朝洋さん=四日市市新正5丁目】

 四日市南、四日市北、四日市西の3警察署管内の関係者らが合同で会議を開き、企業の業界団体のセキュリティ担当者らが出席した。3警察署を代表して南署の射場重人署長があいさつし、「テロ対策パートナーシップは、伊勢志摩サミットを機につくった。今年は6月にG7交通大臣会合が開かれる。あらためて、みなさんと共にテロ行為を防いでいきたい」と話した。

 3地区でのテロ行為に備える訓練などの活動報告がされ、その後、トレンドマイクロ社執行役員で同社サイバーセキュリティ・イノベーション研究所長でもある飯田朝洋さんが「巧妙化するサイバー攻撃の実態~社会に影響を与えるサイバー脅威とは」と題して講演した。

 飯田さんは、攻撃側は企業の内部情報を得るために、ウイルスに感染させる手口を使うが、アカウントやドメインの入手が簡単なため、入り口にメールが狙われる。このため、企業内のどんな情報にも接触できるマスターキーのようなアカウントを強固に守ることが大切だという。暗号化によってパソコンを使えなくし、金銭などを要求してくるランサムウエアでは、あらかじめ盗んだ情報を公開すると脅し、顧客との関係を守るために従わざるをえない状況にする手口が取られているという。

 一方で、ウインドウズのシステムの中で情報を盗むためには、攻撃側もウインドウズに沿った手口を組み立てる必要があり、そこから、手口を絞っていくことが可能だとした。飯田さんは、犯罪グループなどが仲たがいしてネット上に残したやりとりから彼らの情報を得るという、防御の最前線の様子も紹介した。「彼らは7~8人で構成され、リーダーもいて、複数の企業を狙っていた。統率された組織にどう立ち向かうか。今、私たちが直面していることです」と講演を締めくくった。

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