鯨船八艘、史上初の勢ぞろい、8月の第60回大四日市まつりで、見逃せない絢爛豪華な雄姿

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 豪華絢爛な金の装飾を施した鯨船の祭りが地域に伝わる四日市市で、現存する八艘の鯨船すべてが8月の大四日市まつりで勢ぞろいする。普段は、地域ごとに催行されており、八艘が一同に会するのは史上初となる。鯨船の輸送、引き手の確保など、それぞれの保存会が課題を乗り越えて、見逃せない真夏の風景を実現させる。【勇壮な演技を見せる鯨船=2022年の大四日市まつりに出演した鯨船勢州組。四日市市提供】

 鯨船は江戸時代の捕鯨を模したとされ、国の重要無形民俗文化財でユネスコの無形文化遺産に指定された「山・鉾・屋台行事」のひとつでもある富田地区の「鳥出神社の鯨船行事」に登場する四艘(神社丸、感應丸、神徳丸、権現丸)、県有形民俗文化財の南納屋町鯨船の明神丸、市指定無形民俗文化財の南楠鯨船行事の龍神丸、同指定文化財の磯津の鯨船行事の大正丸、本町通り商店街の鯨船勢州組が現存している。

 大四日市まつりは1964年に始まり、この8月で60回の節目を迎える。特定の寺社にとらわれずに伝統行事を登場させるなど、市民のまつりとして続いてきた。

 本町通り商店街の鯨船勢州組は、2014年に塩浜地区の七つ屋町から里帰りして以来、毎年参加している。南納屋町の明神丸は、慣例的に5年に一度の参加が続いてきたといい、今回は2018年以来の参加になる。南楠の龍神丸は、2005年に楠町が四日市市と合併した記念に参加して以来の登場だ。富田はこれまでも一艘ずつが参加することはあったが、四艘がそろって参加するのは2016年12月にユネスコの指定を受けた記念に、翌年参加して以来となる。磯津の大正丸は昨年9月、21年ぶりに祭りが復活したばかりで、大四日市まつりは初参加になる。

 市観光交流課など関係者によると、昨夏のまつりが終わった段階では勢ぞろいの話は出ていなかったが、明神丸の参加や磯津での祭り復活などで鯨船への注目が高まり、「60回の記念に、いつもと違う何かがあってもいいのでは」などの意見も交わされ、今年1月以降の企画検討委員会などで実施の方向が決まっていったという。

 ただ、鯨船は長さ6メートルを超え、重さ2トンになるものもあり、輸送や操り手の確保は簡単ではない。南楠鯨船保存会では、鯨船の破損や輸送費用の心配もあって、竹野兼主会長(67)は「参加は難しいのでは」と思った時もあったという。ただ、若手からは「せっかくの機会、参加したい」との声が強く、輸送についても、「記念イベントに協力できるなら光栄だ」と、塩浜地区の運送会社が引き受けてくれ、参加のめどが立ったという。7月に練習を積み、立派な演技を市民に見てもらうつもりだ。

 大四日市まつりは8月5日、6日の開催で、鯨船が登場するのは6日。正午ごろから市役所東の三滝通りと諏訪新道の交差点を正面会場に演技が始まり、午後3時ごろ、三滝通りで勢ぞろいが実現する計画だ。

 

(2023年7月1日発行の第221号にも掲載しています。)