「保育士の配置基準の改善を」、保育団体や保育士らが市議会、町議会へ請願の働きかけ

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 みえ労連、三重県保育団体連絡会、保育士経験者らによる「保育請願を進める会」などは9月14日、四日市市内で記者会見し、保育士の配置基準の改善を求めて県内の市議会、町議会に請願を出せるよう働きかけていると明らかにした。鳥羽市、いなべ市、菰野町、鈴鹿市へは9月議会での採択をめざしており、四日市市など、そのほかでも12月議会に間に合わせたい考え。配置基準の改善で保育の費用の確保を図り、充実した保育を実現したいという。【市、町議会への請願を働きかける保育の関係者たち=四日市市諏訪町】

 四日市市政記者クラブに北勢労連議長、みえ労連副議長などを務める芳野孝さん、三重県保育団体連絡会長の後藤剛さん、三泗地域保育団体連絡会事務局長の平尾貴美子さん、自治労連三重県本部副執行委員長の加納眞理子さんらが訪れ、説明した。

 芳野さんらによると、3月に県議会に請願を求める説明をしたところ、速やかな協力が得られて採択され、県議会から「保育士の配置基準及び処遇改善を求める意見書」として国に提出された。その効果もあってか、国は6月、「子ども未来戦略方針」を閣議決定し、「保育士配置基準の改善」として、1歳児5人に対し1人の保育士、4・5歳児25人に対し1人の保育士を配置するよう明記されたという。

 しかし、これらは保育士配置基準そのものの改善になっておらず、「加算方式」のため、すべての子どもたちの保育所には適用されないという。加算が受けられるのは私立保育園に限られ、公立施設は除外。四日市市や川越町は地方交付税の不交付団体のため対象外。他の公立保育園も一般財源であるため、保育の改善に使われる保証はないという。さらに、私立保育園でも、保育士を配置した施設へ運営費を加算して支給するため、保育所間の職員配置に格差が生まれることも危惧されているという。

 こうしたことから、抜本的な対策は配置基準そのものの改善にあるとして、もう一度、市、町の議会から声を国に届けることで、さらに国に考えを進めてもらいたいと、請願を働きかけることにしたという。紹介議員など、それぞれの議会での協力を求めるという。

 全国保育団体連絡会の資料によると、保育士1人が受け持つ子どもの数は、日本が30人に対し、フランスでは15人、スウェーデンでは実質6人(18人に3人の保育士)。日本の保育の厳しい状況が浮かんでいるという。

 

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