料理人らが長く使った包丁の労をねぎらう「庖丁供養祭」が11月8日、三重県四日市市の鵜森神社境内にある庖刀塚の前で行われた。四日市地区調理師協会の主催で、今年は6回目。調理関係団体の関係者だけでなく、一般の女性らも含む約30人が供養の神事を見守った。
塚の前の祭壇には、家庭で使われた包丁も含め52本が供えられた。長く使われて使命を果たした庖丁が49本、日ごろの使用に感謝し、今後も安全に使うための祈祷が目的の包丁が3本だという。使い込まれて風格を感じる包丁や、何度も研いで小さくなった包丁もあった。
供養祭では、同調理師協会の河内信次会長が「一般の人も多く参加できる供養祭になるよう、続けていきたい」とあいさつ。三重県調理師連合会など来賓らのあいさつがあり、そのあと、供養の神事が行われた。
包刀塚は、料理人でつくる四日市日本料理研究会泗友会の会員らが1968年に建立したとされ、毎年、新年に魚鳥供養、商道繁栄なども含めて参拝していた。その後、四日市地区調理師協会が受け継いだが、料理人はもちろん、一般の人も参加できるようにと、「いい刃」にちなんで11月8日を供養祭の日にして続けているという。
使命を果たした包丁49本は、刃物の町として知られる岐阜県関市に送られる。関市でも毎年11月8日には同様の刃物の供養祭を開いており、集まった包丁はリユースに回したり、鋼材などにリサイクルされたりしているという。