「どこかで見た」から、もっと深くへ、パラミタミュージアムで「20世紀巨匠の版画達展」

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【パラミタ会場が初出品になったシャガール「ロミオとジュリエット」=菰野町大羽根園松ヶ枝町】

 三重県菰野町のパラミタミュージアムで、「Sasa Adair(ササ・アディア)」のコレクションで紹介する「20世紀巨匠の版画達展 シャガール、ピカソ、ダリからロックウェルまで」が開催中だ。絵画が1点のみで存在する時代から、版画や印刷によって世界中に作品や作家が紹介されていく時代への、変革の空気が伝わってくる。2024年1月29日まで。

 「どこかで、なにかで、見たことがある、を感じながら楽しんでいただく展覧会」。これが、今回の展覧会のPRの言葉。たしかに、シャガール、ピカソ、ミロ、ダリ、ロートレック、ミュシャ、マティス、ブラック、ビュフェ、パリッシュ、ロックウェルなど、名の知れた作家たちの作品が並ぶ。

ロートレックのポスターなどが並ぶ第2章の展示

 しかし、会場を回るうちに、初めて出会う作品や作家が目に留まり、その当時の芸術の世界に思いを寄せたくなる。全く知らなかった作家たちの力量に驚く場面も。展示数は計143点。先行の巡回開催会場にはなかったシャガールの「ロミオとジュリエット」がパラミタ会場で初出品されたのも見ものだ。

 「Sasa Adair」は米国在住の科学者、笹慶之(ささ・みちゆき)氏が、学生時代から長い年月をかけて収集した版画のコレクションで、収集を温かく見守ってくれた妻の家系名をとっているという。

 展示は大きく四つに分かれ、最初は、美術雑誌「デリエール・ル・ミロワール」の表紙を飾ったシャガールやミロ、カンディンスキーなどの作品が並ぶ。作家たちのこの雑誌に寄せた絶大な信頼がうかがえる。次に、「19~20世紀のリトグラフ(石版画)によるポスター」で、ミュシャ、ロートレックの作品なども。しばらく、大家たちの作品を見ると、最後は、「若き日のアメリカ、パリッシュとロックウェルを中心に」の展示に。ロックウェルは存在感のある主人公をテーマをもって描き、米国人の当時の社会の姿を浮かび上がらせている。

米国の世相を浮かびあがらせるロックウェルの作品

 この時代になると、印刷された作品は単に雑誌の表紙画などではなく、人々は毎号を楽しみに、表紙画を切って額に入れ、家に飾って楽しんだという。

 同期間の開催で、池田満寿夫の版画作品などが1階で見られる。また、12月10日午後2時から、南アルプス市立美術館の向山富士雄館長が「20世紀巨匠画家たち 版画表現へのこだわり」と題して記念講演する。講演会は無料だが入館料は必要。1月7日午後2時からはパラミタコンサート「新春の調べ~筝とヴァイオリンからのメッセージ~」がある。筝は鹿野竜靖さん、ヴァイオリンは笠井文昭さん。こちらもコンサートは無料だが、入館料は必要。

 入館料は大人1000円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。12月28日~1月1日は休館。