パリの美容世界大会へ、日本代表は四日市の3人、洋装文化の象徴「アップ」に挑戦

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【美容師の世界大会へ出場する(右から)窪西早紀さん、森本五月さん、中村麻美さんとオーナーの内山勇一郎さん=四日市市下之宮町】

 フランスのパリで開催される美容師の世界大会に、四日市市下之宮町の美容院「ラ・モード・シム」の3人が出場する。日本代表枠は3で、全員が同じ店から選抜されるのは初めて。さらに、数々の部門の中でも、ドレスを着る洋装文化の象徴ともいえる髪型「アップ」で競う。日本の美容師界も注目する大きな挑戦になる。

 大会は、パリに本部がある理容美容の世界組織「OMC」主催の世界理美容技術選手権大会。出場するのは、同店のマネジャー中村麻美さん、ディレクター森本五月さん、スタイリスト窪西早紀さん。スタイリストは1人でお客様への対応が任される技術を持つことを意味し、窪西さんは若手のホープ。ベテランの中村さんと森本さんは、それぞれ経営面の責任者、店長の役割を果たしている。

〇それぞれに競技の実績

 中村さんは伊勢市出身。美容院に勤めながら勉強し、技術を磨いた。全日本美容技術選手権の総合4位、ロレアルグループサンクスフェスティバルのアップカテゴリーでグランプリ、2021年世界大会のフォトコンテスト(新型コロナ感染拡大のため写真応募で審査)で銀メダルを獲得している。

中村麻美さんの世界大会の作品

 森本さんは高松市出身。おしゃれに関心があって、この仕事に。今の店のオーナー内山勇一郎さんが1994年に独立した時、中村さんと一緒に発足時のメンバーになった。ロレアルグループサンクスフェスティバルアップカテゴリーでゴールド賞、2022年世界大会カットフォトコンテスト3位、2023年世界大会アップフォトコンテスト6位入賞。2024年1月には四日市市優秀技能者表彰も受けた。

 窪西さんは奈良市出身。中学の職業体験学習で美容師に魅力を感じ、専門学校で勉強した。2年生の時、技能五輪U23で敢闘賞を獲得したが、その時に指導してくれた内山さんにあこがれて四日市に来た。2016年の全日本美容技術選手権ヘアスタイル競技で準優勝している。

〇仕事をする以上、その分野のトップに

 オーナーの内山さんも数々のコンテストで活躍した美容師で、それだけに技術指導には厳しい。ドイツヘアワールド2000(世界大会)の団体3位と個人2位、2010年と2011年のミラノコレクション・スポーツマックス担当などを務めた。2019年に「卓越した技能者の表彰(現代の名工)」を受賞している。

 「仕事をする以上、その分野のトップに立ちたい」との思いでやってきたといい、美容業界の全国組織「全日本美容業生活衛生同業組合連合会」では技術部門全日本美容講師会常任創作委員を務め、コンテストの内容の企画づくりもする立場にある。

世界大会の森本五月さんの作品

 「難しいアップで結果を残してこそ、欧米に日本の美容師の技術を示すことになる」という内山さんの強い思いもあって、3人は今回、アップに挑戦する。イブニング、デイ、ブライダル、クラシックと分かれており、例えれば、本格的な日本髪のコンテストに欧米人が挑むような壁の高さがあるという。

〇世界大会は10月、毎日が準備

 世界大会は10月、パリ15区の国際見本市会場「ポルト・ド・ヴェルサイユ」で開かれる。12、13日が競技で14日が表彰式。3人で競う団体戦と個人戦がある。3人は今、自分のアイデアを固め、それを30分の短い制限時間内に仕上げる練習を、毎日の仕事をこなしながら続けている。

 中村さんは「見ているだけだった世界大会の舞台に立つのが楽しみ。洋装文化に切り込む意味を胸に込め、ぜひ、結果を出したい。この挑戦で見える世界がきっと変わり、私自身のその後につながると思っています」と話す。

 森本さんは「この挑戦で技術も伸びると思うし、私自身、美容師として、まだ止まりたくないという気持ちがあります。今までやってきた仕事の成果を家族やお客様に見てもらえるのが楽しみ」という。

 窪西さんは「結果を出して、これまでお世話になった人、お客様に恩返しがしたいと思います。いつか、自分の店を持つのが夢なので、その時の力にしたいと思います」と話している。

 窪西早紀さんの全日本大会での作品

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