手間をかけた修理、地域の経済や暮らしを展示で紹介、旧四郷村役場で報道向け内覧会

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【村役場のころの執務室を再現した1階での展示=四日市市西日野町】

 100年余を経て耐震補強・復原修理をした三重県四日市市の市指定有形文化財「旧四郷村役場(四郷郷土資料館)」で3月11日、報道向けの内覧会があった。竣工から1世紀を経過した床板を1枚ずつ外して番号をふり、欠けたり穴が開いたりしたところを木材で埋めながら、再び番号を頼りに元通りに敷き直すなど、手間をかけた修理の様子が説明された。

 屋内の展示も公開された。1階にはこの建物の出資者でもあった地元の経済人、10世伊藤伝七氏の活躍や、紡績、酒造、製茶など様々な事業が生まれた四郷地区について紹介。2階には、地域から寄せられた民具や資料などを分野別に整理して展示した。

10世伊藤伝七の活躍などを紹介する1階の展示

 車止めのある建物の外観は、1階がピンクに塗られた板張りで、2階が白い壁。最大の特徴は東側にある3階建ての塔屋で、螺旋階段で最上階に上ると、伊勢湾から鈴鹿山系への眺望を楽しめる。この建物の竣工は大正10年で、当時の村人の驚きようが想像される。

三階建ての塔屋は最大の特徴

 工事にあたっては、年月による建物の傾きを直すため、骨組み部分に手を入れており、ところどころで建物が持ち上げられた跡を見ることができる。建物には壁の中で筋交いを施し、上げ下げ窓も細心の強化ガラスに張り替えられている。これら修理の工夫を確認できる場所もある。

車止めを中央にした西側からの外観

 修理前の四郷郷土資料館では、地域から寄せられた民具などに触れることもできたのが評判だったといい、2階の展示の一部ではそのよさを残している。1階は、歴史的な経済人の渋沢栄一との交流によって紡績などで成功していく伊藤伝七氏について詳しく紹介。映像で紹介を始める仕組みなども備えている。

竣工当時は限られた建築物にしかなかったとされるリノリウムを張った跡が残る階段

 伊藤氏は数々の産業を手がけており、四郷地区の歩みが産業都市としての四日市を形づくる出発点のひとつだったことを感じさせる。村役場当時のカウンターと執務室なども再現されており、当時の雰囲気を味わうことができる。

 リニューアルオープンは3月23日午前10時30分から。当日は午前9時から関係者による記念式典があり、午前11時からは四郷小学校体育館で記念コンサートがある。開館は毎週土日の午前9時~午後4時の予定。

1世紀前の床材を修復しながら張り直した室内

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