四日市出身の絵本作家なるかわしんごさん 活動に込めた思い

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【絵本「きみがうまれたひ」となるかわさん(提供写真)】

 わが子が誕生する時、期待と不安の中で綴った文章を基に、子どもへの「ありがとう」「大好き」という気持ちを描いた絵本「きみがうまれたひ」(2023年イマジネイション・プラス刊)。作者のなるかわしんごさん(35)は四日市市出身で名古屋市在住の絵本作家だ。

 「あのひのことをわすれない きみをはじめてだいたひのこと」。ペンギンのパパが赤ちゃんを抱っこしている絵から始まる「きみがうまれたひ」。どんな子になるのかな、一緒に食事したり散歩したりしたいなと期待が膨らむ。初めて笑った日のこと、座ったり立ったりできるようになり、時にはうまくいかない日も。「子が大人になったら渡そうという私的な思いで描いた作品が、8年越しで全国流通する商品になるとは想定外だった」というが、「子が生まれた時の気持ちが蘇る」「ありがとうと伝えたくなる」と感想が寄せられ、「大事にしたい思いは届く」と実感している。

 昔から絵を描くことは好きだった。大学卒業後、就職するも1年足らずで離職、当時は20代前半で気持ちが尖っていた。「自分の命をどう使えばいいか」自問の日々。起業塾や絵本教室に参加しつつ、職を転々とした。25歳で結婚、子を授かった。「生まれてくる子と一緒に人生を楽しめるようにしたい」。絵本の可能性にかけることにした。

 制作を始めてしばらくの頃、日本初の子どもの本専門店「メルヘンハウス」(名古屋市千種区)創業者の三輪哲さん(故人)に勧められた本を読んで心を打たれた。重い障害を持つ少女の成長に係わった絵本の記録「クシュラの奇跡」(2006年のら書店刊)だ。絵本には子どもに働きかける大きな力があると確信できる本だった。その日、三輪さんに掛けられた「頼んだよ」という言葉と相まって絵本を描き続ける原動力になった。

【提供写真・ワークショップの様子】

 

 創作の傍ら、自治体や子育て支援団体と協力し、虐待予防活動の一環として親子向けワークショップを行っている。「こうあるべき、なんてものはなく、湧き出る気持ちが大事。絵のワークショップだから絵を描かなきゃいけないってこともない」。保護者に寄り添い一緒に子どもを見守る時間を大切にしている。「絵本や活動で、親と子、社会と親子をつなぐ橋渡しができれば。社会背景や子育て環境を強く優しいものにしたい」と語った。

新刊「ちいさな しまの とりの おはなし」

 4月30日には2作目の絵本で、小笠原諸島に生息している絶滅寸前の鳥・オガサワラカワラヒワを題材にした「ちいさな しまの とりの おはなし」(イマジネイション・プラス)が刊行される。専門家の監修のもと、「忘れてほしくない命がある」という思いを分かち合い、小さな命について考えるきっかけになればと制作したそうだ。

三重県総合文化センターでワークショップ開催

 なるかわさんの直近での三重県内での活動としては、県総合文化センター開館30周年記念イベントの一環で開かれるワークショップ、広場deアート「みらいのみんなのそうぶん広場」がある。4、5、10月に一回ずつ開催され、県立図書館前の「知識の広場」の床のタイルいっぱいに、なるかわさんと子どもたちで巨大な絵を描く。4月は申し込みを締めきっているが、5、10月は受付中。詳細は公式ホームページ(https://www.center-mie.or.jp/30th_anniv/category/8)へ。

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