手口が巧妙になっている特殊詐欺に気をつけてもらおうと、三重県四日市市の市総合会館で7月16日、消費者講座「特殊詐欺の手口と対策」が開かれた。年配の人を中心に約40人が参加し、四日市北署生活安全課の谷口浩課長から被害に遭わないためのポイントを聞いた。
講座は市の企画で、講師の谷口課長は、特殊詐欺の手口を「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「還付金詐欺」「預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺盗」「融資保証金詐欺」と大きく五つに分類した。多くはないが、ギャンブル必勝法詐欺など、その他の手口もあるという。
ありえないSNSでの警察手帳や逮捕状の提示
「オレオレ詐欺」では、最近は警察官をかたる事案が増えており、谷口課長は「SNSの画面で警察手帳を見せたり、逮捕状を示したりすることは絶対にない。不安になってもだまされないで」と話した。
心当たりのない支払いを求められる「架空請求詐欺」、還付金を受け取れると言いつつ、ATMに誘導して金を振り込ませる「還付金詐欺」、警察や銀行協会などをかたってキャッシュカードを提出させる「預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺盗」、融資をもちかけ、保証金の名目で金をだまし取ろうとする「融資保証金詐欺」など、いずれも、まず、先にこちらから金を振り込ませようとするため、あわてず、振り込む前に警察など第三者に相談してほしいという。
「SNS型投資・ロマンス詐欺」は、「必ずもうかる」などの誘いや、詐欺を本当らしく見せるために犯人がつくった投資アプリなどに誘われるものが多く、振込先も個人名だったり、何度も名義が変わったりする。恋愛感情を利用する「ロマンス詐欺」では、「結婚資金をつくるために協力しよう」などと、やはり投資話をもちかけたりする。相手が本当に実在するのか、どこかで金の話ばかりになっていないかなど、注意が必要だ。

自動録音警告機の取り付けや国際電話利用の休止も選択肢
対策では、留守番電話機能の利用や自動録音警告機を取り付けることを挙げた。犯人は録音されることをいやがるため、効果は大きいという。警察署では自動録音警告機の半年間の無料貸し出しをしており、四日市市などでは購入に対する補助制度もあるので、問い合わせてほしいという。
犯人が国際電話で詐欺電話をかけてくることが多いこともあって、あらかじめ、国際電話利用休止の申し込みをしておくことも対策になるという。ただ。最近は、全国的に申請が増えていて、休止まで、申し込みから数カ月かかる可能性もあるという。
谷口課長の説明では、三重県内の特殊詐欺は2024年が367件で被害額が約12億円。今年も6月末で209件(昨年同期比106件増)、被害額約6億2000万円(同5億2000万円増)となっている。SNS型投資・ロマンス詐欺については2024年が299件、約26億7000万円。今年は6月末で121件、約12億3000万円で、件数、被害額とも昨年同期比では減っているが、被害金額が大きいのが特徴だという。四日市南署と同北署の管内での特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生は、三重県内全体の2割余を占めているという。