三重県四日市市の近鉄四日市駅東に新しいオフィスビル「四日市三交ビル」が完成し、8月7日、開業した。民間開発の賃貸オフィスビルでは床面積が県内最大といい。ビル運営のエネルギー消費量を抑える環境への配慮、仕事のしやすさに気を配った共有空間などが特色になっている。
大樹が外観デザインのイメージ
開業式典がこの日あり、再開発が進む中央通りに面したエントランスでテープカットがあった。三交不動産の中村充孝社長、森智広市長が記者との質疑などをし、中村社長は「人にやさしい、地球にやさしい、四日市らしい、の三つのキーワードを大切にした」と挙げた。中央通りのシンボルのクスノキのような大樹がしっかり立っている様子をテーマに、ビルの外観のデザインにも反映させているという。

森市長は「中央通りの再編に合わせ、オフィスビルやホテル、マンションの開発計画が進んでおり、その先頭にあたるビル。今後、新しいバスターミナルのバス運営でもご協力いただくなど、三交グループと力を合わせ、まちづくりを進めていきたい」などと期待を語った。

省エネや居心地のよさにこだわる
四日市三交ビルは中央通り南側の元JAの跡地などに建ち、敷地面積は約2195平方メートル。鉄骨造り地上14階で、オフィス用の床面積は延べ約1万3660平方メートル。オフィスフロアは3階~14階で、中村社長によると、開業時点で約3分の1の入居企業が決まっており、商談中を含め、ほぼ8割に相当するという。2023年2月に起工し、総事業費約80億円をかけた。

県内の新築テナントビルでは初めて、省エネの認証の「ZEB Ready」を取得しており、従来のざっと半分のエネルギーで運用できるビルになっているという。働く人の居心地のよさの取り組みで、三重県初の「CASBEEスマートウェルネスオフィス」の認証最高位のSランクを取得している。屋上にリフレッシュスペースとしての庭を設け、9階にはくつろぎの空間になるコミュニケーションラウンジを設けた。オフィスの利用者が仕事も休憩も充実して過ごせ、ラウンジでは利用者間の交流も生まれるような運用を心掛けるという。四日市の萬古焼を使ったオリジナルの照明、鳥羽市の海岸で回収された海洋プラスチックごみの再利用材を用いた什器を使っているという。


災害にも対応、ツインビル計画も
四日市三交ビルは、四日市市から「津波避難ビル」の指定を受け、大規模地震発生時の地域住民の避難場所としても開放される。入居企業の利用者を含め、3日間の自家発電、給排水を可能にしているという。
ビルの東側には、今後、170室のホテルや店舗が入居する、同じ外観デザインの「四日市三交ビルアネックス」を2028年春をめざして建設する計画もある。こちらは地上13階建てで、総事業費約50 億円。やや高さの異なるツインビルが市中心部のあらたなランドマークのひとつとなる。