四日市の土と茶の灰で萬古焼の抹茶茶碗を、陶芸家清水醉月さんの陶房で制作

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【ろくろを回す森智広市長(右)と見守る清水醉月さん=四日市市の醉月陶苑】

 三重県四日市市の陶芸家清水醉月さん(81)が、四日市の土と茶の灰を用いた釉薬で萬古焼の抹茶茶碗を生み出そうとしている。その第一号誕生に、茶どころ水沢地区出身の森智広市長に応援を依頼、8月9日、森市長がろくろでの成形に取り組んだ。11月のイベントで発表する計画だ。

 森市長は清水さんの陶房で1時間以上ろくろを回し、浅いもの、深いものなど4~5個の抹茶茶碗の形をつくった。ろくろは10年以上前に1度経験しただけというが、大きなミスもなくやり遂げた。指導した清水さんが「ふらつかないので、テレビの絵にならないね」と冗談を言うほど、できはいいという。今後、清水さんが釉薬を施し、焼き上げる。

試作段階での茶灰の釉薬の具合を森市長に説明する清水さん(右)

 できあがった作品は「萬古茶灰釉(ちゃかいゆ)茶碗」と名づけるそうだ。北勢バイパス坂部トンネルの工事で出た土を使い、かぶせ茶で有名な四日市の茶の灰を用いた釉薬で彩るという。

北勢バイパス坂部トンネルの工事で出たという土

 森市長は「集中する作業で、右の手首などが痛いです。お茶と萬古はもともと縁が深いですが、今回、あらたな段階に進むということで、できあがりがとても楽しみです」と話した。

 清水さんによると、萬古作家約15人と四日市茶道連盟、有限会社萩村製茶、複数の和菓子店などが実行委員会をつくり、11月7~9 日、四日市商工会議所で「四日市の伝統・文化の共演 萬古とお茶を楽しむ会」を開く。これまで抹茶の席では萬古焼の抹茶茶碗はあまり表に出ていないため、せっかくの機会を生かしたいと清水さんはこのイベントでの発表を考えたという。

真剣な表情でろくろを回す森市長

 「急須や土鍋のように、抹茶茶碗でも存在感を出すことができれば、萬古焼の位置をもっと確立できると思います」と清水さんは話している。

 清水さんは日本伝統工芸展や国内外の陶芸展で受賞しており、2016年のG7伊勢志摩サミットの晩餐会で使われた酒杯も手がけた。今年2月にはサンドブラストを用いて紋様を描く技術で市指定無形文化財に指定された。

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