三重県四日市市は9月2日、東邦ガスと連携し、国のJ-クレジット制度を活用する二酸化炭素の削減プロジェクトを始めると発表した。市は各家庭の太陽光発電設備や家庭用燃料電池システム(エネファームなど)の導入に補助金を出しており、これら家庭分を環境価値として東邦ガスがJ-クレジット機関に申請し、得られた収益を市が活用できるようにする。
森智広市長が同日の定例記者会見で説明した。市と東邦ガスは持続可能なまちづくりの実現に向けた包括連携協定を結んでおり、市は東邦ガスがすでに県内外の自治体と連携を進めているJ-クレジットの活用に加わる。これにより、市はクレジット収益を得やすくなり、二酸化炭素削減に使う費用を捻出できるようになるという。
市には独自の「四日市市スマートシティ構築促進補助金」の制度があり、市民の二酸化炭素削減の取り組みに補助金を出している。これらの家庭が東邦ガスが事務局の「くらしカーボンニュートラルクラブ(くらしCNクラブ)」に入ることで、東邦ガスは市内の家庭の環境価値をまとめて国の機関に申請、得られたクレジットの収益を市に配分し、市は得られた収益を資金にさまざまな二酸化炭素削減施策に活用する。

市によると、2024年度に市の補助金を利用して太陽光発電設備や家庭用燃料電池システムを導入した家庭は400件余りあるという。現在、J-クレジットの二酸化炭素1トンあたりの価値は条件によって幅があるが、仮に5000円として換算すると、年間では約200万円が利益として創出されるという。
市は今後、補助金を利用した家庭のくらしCNクラブへの参加を求め、J-クレジットの活用を広げたいという。当面は市の補助金の積み上げなどを活用例として考えているが、クレジットは積み立てて使うこともできるといい、二酸化炭素削減に参加する家庭が増えれば、さらに大きな目的に活用することも可能だと考えている。