三重県四日市市は9月17日、今市議会に上程していた新図書館(知と交流の拠点施設)とJR四日市駅前に開設する新大学の基本設計費など補正予算案の撤回を求め、市議会はこれを承認した。大雨の被害が大きく、今は災害対応に集中したいとして、市議会からの求めもあって決断した。市長は同21日に迫っていたM-1グランプリ1回戦の出場辞退も決めた。
市の2大重要課題にも大雨の影響
9月12日の記録的な大雨は、床上浸水約200件、床下浸水約3100件、中央通りの地下駐車場「くすの木パーキング」での計274台の浸水被害をもたらしたが、市が2大重要課題と位置付けてきた新図書館、新大学の審議をも止める影響をもたらした。
市議会は17日午後3時15分に本会議を急きょ開き、森智広市長が「記録的短時間の大雨により甚大な被害が生じたことを受け、市としては災害対策に優先してあたっていく必要があることから、本議案の撤回を申し入れる」などと理由を述べた。ただちに採決に入り、異議なく承認された。
市は、新大学の基本設計費などは、今議会で通らなければ目標の2031年度開学に間に合わないと説明してきた。採決後、森市長は「令和13(2031)年度開学は断念。令和14(2032)年度以降をめざす」と話した。
新図書館の予算は11月にも提出
森市長は「今回の撤回で計画そのものをやめるわけではなく、今は市役所組織の力を災害対策に注力すると決めた」と話した。新図書館関係の予算は次の11月議会に提出し、2031年度開学の締め切り時間が外れた新大学は、さらに計画を練って、可能な時期に提出するという。M-1出場の辞退も同じ災害対策重視の理由での決定という。
本会議に先立ち、市議会では午前中から議会各派の代表者らによる相談がされ、村山繁生議長が口頭で市長に「今は災害に全力を傾ける時で、議案の撤回を求める」と市議会の考えを伝えた。森市長も同じ思いであったことから、その求めに応じる形になったという。ただ、市民の間からも「まずは災害対策」との思いや意見は市議会、市側に寄せられていた様子だ。
今回、撤回されたのは、新図書館、新大学の基本設計などの費用、約1億9100万円の一般会計補正予算案。