三重県の四日市市消防本部で10月5日、外国籍の6人が市の消防団員になる辞令を受けた。地域の外国人住民が災害などに対応できるよう、避難訓練や救命講習などで指導する。6人はボランティアとして外国人防災リーダーの活動を経験してきており、今回、県内では初の試みという消防団員にもなってもらうことで、救命講習など活動の幅をさらに広げてもらうという。
辞令交付式には「四日市市外国人防災リーダーズ」のボランティア活動に参加してきたアラウコ・マリアさん(ペルー)、宇歓さん(中国)、ズン・タン・コンさん(ベトナム)、ティンパン・ディエンさん(同)、ファム・スアン・チーさん(同)の5人が出席した。10年前後、日本に住んでいる人が多く、中には20年以上の人も。日本語も堪能で、4カ国語を話す人もいる。ふだんは通訳などの仕事をしているという。もうひとり、ワキモト・隆子さん(ブラジル)は都合で欠席した。
消防団の加藤友久団長から1人ずつ辞令を受け取った。今後は「機能別団員訓練指導班」のメンバーとして活動する。加藤団長は「外国人の住民は、母国と日本の文化や自然の違いから、戸惑いを感じる場面があると思う」とし、外国人も安心して住める地域づくりのために活動してほしいと呼びかけた。

辞令交付式のあと、アラウコ・マリアさんは「外国人はSNSで情報を取っていることが多く、デマや偽情報に惑わされることもある。私自身が正しい情報を市からいち早く受け、発信できるようになりたい」と話した。宇歓さんは「地域の防災の講習会があっても外国人の多くが参加していない。私から参加を呼びかけたい。9月の大雨のような時に、いち早く必要な情報を発信できるようにしたい」などと話した。
消防本部によると、市内の外国人住民は8月時点で1万3600人を超え、さらに増える傾向にあるという。言葉が通じない外国人の安全への備えのために、3年前から四日市市では防災リーダーの活動を始め、現在も市内では30人近くの外国籍の人が活動しているが、さらに、救命などについて外国人住民に教えられるよう、消防団員になってもらったという。まずは救命講習に参加してもらい、いずれは、消防団員の立場から多文化共生のキーパーソンとなってくれるよう期待しているという。