十五代酒井田柿右衛門展、10月10~14日、近鉄百貨店四日市店で開催

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【椿を描いた花瓶など。制作の様子を映像でも紹介している=近鉄百貨店四日市店】

 十五代酒井田柿右衛門展が10月10日から同14日まで、三重県四日市市の近鉄百貨店四日市店11階近鉄アートホールで開催される。400年余の歴史をもつ陶芸の名門で、襲名から12年目に入った十五代の作品50余点を展示する。11、12両日には十五代も来場し、観覧客と親しく作品の話などをする予定だという。

 近鉄四日市店の開店65周年記念の展示でもあり、同店での柿右衛門の作品展は17年余り前の十四代の作品展以来。十五代を紹介する初めての展示となるという。9日夕に展示準備を終え、華やかな作品が並んだ。

様々な作品が並んだ会場

 十五代は作家として円熟期に入りつつあるとされる。人間国宝でもあった十四代は草花を好んで描いたとされ、十五代も同様に草花を描くが、樹木やつる植物なども描き、持ち味としているという。

 作品は花瓶、花器、皿、陶額など様々で、椿、苺、葡萄、薔薇などが描かれているが、十五代はさまざまな場所で取材し、身近な植物から着想を得ているという。足元を大事に見ている姿勢を感じられるそうだ。大きな作品だけでなく、手に取って見られるコーヒーカップのような作品もある。

手にして見られるコーヒーカップなども

 酒井田柿右衛門は、初代が1596年の生まれとされ、現在の佐賀県の有田に移り住んだ。江戸初期に「柿右衛門様式」と呼ばれる独特の赤絵磁器の技法を確立し、ヨーロッパで人気となり、ドイツのマイセン窯にも影響を与えたとされる。

 さらに有名なのは、「濁手(にごしで)」と言われる温かみのある乳白色の地肌の色絵磁器で、赤や黄、緑、青、紫、金などの上絵によって、光の加減も含め、青みをおびて見えるなどの楽しみ方があるとされる。「濁手」は、いったん途絶えたものの、十二代、十三代によって復興に成功し、1971年には、その製陶技術が国の重要無形文化財に指定され、十五代へと継承されているという。

 十五代は1968年生まれで、多摩美術大学で絵画を学び、十四代に師事した。2010年には日本伝統工芸展などで初入選している。2014年に十五代を襲名した。今回の展示は最終日の14日のみ午後3時までとなっている。

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