三重県四日市市は、災害被災地のトイレ不足を自治体の相互協力で解消するため、トイレトラックを導入し、11月25日、市民公園でお披露目した。市のマスコットキャラクターを車体にあしらった「こにゅうどうくん移動トイレ」で、被災地へ応援に駆けつけるほか、ふだんは市内のイベントなどで利用してもらうという。
自治体が相互に助け合う
災害でトイレが使えない状況になっても、各地から自治体が持つトイレトラックが応援に向かえば大きな助けになる。今回、静岡県御殿場市に拠点がある一般社団法人「助け合いジャパン」が推進する災害派遣トイレネットワークプロジェクト「みんな元気になるトイレ」のトイレトラックを導入した。

能登半島地震でトイレが使えない状況が長く続き、トイレトラックの存在が報道で伝えられたことで認知度が高まり、全国の自治体で導入を検討する動きが広がったという。四日市市は今回、約2600万円で購入し、購入費の一部には市内に事業所があるコスモ石油株式会社からの企業版ふるさと納税による寄付を利用したという。
このトイレネットワークでは、四日市市は全国40番目の参加といい、三重県内では志摩市、玉城町に次ぐという。ネットワークに参加することで、全国の被災地に「こにゅうどうくん移動トイレ」が応援に行く一方、四日市市が被災地になった時には全国からトイレトラックが来てくれる仕組みだ。
お披露目では、助け合いジャパン代表理事の石川淳哉さんと森智広市長が協定に署名した。コスモ石油の菅貴志四日市製油所長が署名を見守り、「こうした形で協力ができて光栄です」などとあいさつした。石川さんはあいさつで、「こにゅうどうくんの絵柄が私は気に入っています。これなら、トイレも運ぶけど元気も届きます。南海トラフなどでこのトイレトラックが必要になる時が来るまでは、イベントなどで愛してください」などとあいさつした。
車いす用のリフトがある多機能トイレも装備
テープカットのあと、こにゅうどうくん移動トイレの機能の紹介があった。長さ6メートル余、幅2メートル余、高さ3メートル余の大きさで、乗車定員は3人。普通のトイレ4室と、車いす用のリフトも備えた多機能トイレ1室の5室を荷台部分に載せており、くみ取りなしで約1000回の使用が可能だという。

「すべての自治体に行き渡ってほしい」
石川さんによると、今年度内に60自治体にトイレトラックが導入される見通しだという。石川さんは、1700余の日本のすべての自治体に行き渡ることを目標にしており、「南海トラフが起こる前に、できるだけ早く実現させたい」と話していた。








