三重県四日市市神前地区では毎年、子どもたちが心を込めて作った折鶴付きの色紙と年賀状が一人暮らしの高齢者に届けられる。心のこもったプレゼントを作るのは、神前小学校の児童と、三重平中学校、三滝中学校の生徒だ。子どもたちの優しい気持ちが地域の高齢者に笑顔と安心を届け、世代を超えた絆を育んでいる。

心温まる恒例行事
12月3日、子どもたちが神前地区市民センターを訪れ、地域の民生委員・児童委員にプレゼントを託した。18年ほど前から続く恒例行事で、三滝中学校の生徒が描いた色紙に神前小学校の児童が作った折鶴を貼り付ける。年賀状は、三重平中学校の生徒が手書きした。それを民生委員・児童委員が一人暮らしの高齢者に手渡したり、年賀状に住所と宛名を書いて投函したりする。
ビデオレターで広がる感謝の輪

昨年からは、民生委員が高齢者宅を訪れ、子どもたちへのお礼のビデオレターを制作している。今年のビデオに登場したのは、糸澤みよさん(99)とその息子の博幸さん(74)だ。博幸さんは交通事故で頸椎を損傷し、車椅子を利用している。8年前に妻を亡くし、一人暮らしだ。掃除などの家事は週数回ヘルパーに依頼しているが、ほぼ毎日みよさんがシルバーカーを押して博幸さんの家を訪れ、掃除や洗濯をしている。

みよさんも一人暮らしで、2人とも毎年、子どもたちからプレゼントをもらっている。博幸さんは色紙を部屋に飾り、年賀状が届くのを楽しみにしている。
ある時、三重平中学校の生徒が、車椅子に乗る博幸さんに遭遇した。一旦通り過ぎたが、すぐに戻って来て「何かお手伝いすることはありませんか」と声をかけてくれたという。博幸さんはビデオレターの中で、その出来事と感謝の気持ちを語った。
プレゼントが生む世代間交流
近年は、年賀状を出していない子どもも多い。そんな中、三重平中学校の池田恋菜さん(3年)は「お年寄りに喜んでもらえるように考え、筆ペンで手書きすることは新鮮な体験だった」と話した。

ビデオレターを見た三滝中学校の中川癒綾さん(3年)は「地域の人と、色紙を通して触れ合えた」と喜びを語った。加藤楓悟さん(3年)は「自分たちが描いた色紙を心の支えにしてもらえて、嬉しかった」と話した。

神前小学校の浜山希笑さん(6年)は「中学になったら、おじいさんはおばあさんに喜んでもらえる年賀状を書きたい」と話した。曾祖父が昨年、93歳で亡くなったという吉田美奈さん(6年)は「皆さんに長生きしてもらいたい」と語った。









