12月。四日市の街も年末に向けた準備で活気づいてきた。 スーパーに並ぶ正月飾り、大掃除、買い出し。慌ただしい日々の先に待つ、新しい年。
お正月の「おせち料理」。 あなたは今年、食べる予定はあるだろうか。 「最近はあまり食べなくなった」 「スーパーで少し買うだけ」 そんな声も聞こえてくる。
しかし、おせち料理は単なる豪華な弁当ではない。そこには、日本人が大切にしてきた深い意味が隠されている。 今回取材に向かったのは、湯葉と豆腐の懐石料理(季節の食材を使った日本のごちそうコース)で地域に親しまれる「梅の花 四日市店」。 支配人・柏戸秀介(かしわど しゅうすけ)さんが語る、「今だからこそ知りたいおせちの魅力」に迫りたい。
形は変わっても、心は変わらない
「年末年始の過ごし方は、ここ数年で大きく変わりましたね」 穏やかな口調で切り出す柏戸支配人。
かつては親戚一同の大集合が当たり前だったが、最近は家族だけでゆっくり過ごすスタイルへ。 それでも、変わらないものがある。 それは、年末年始に「家族で同じテーブルを囲む時間」。
「だからこそ、おせち料理には『家族をつなぐ力』があるんです。一つひとつに込められた願いを噛みしめ、『今年も一年がんばろう』と心を整える。おせちは、そんなスイッチのような役割を果たします」
「願い」を知ると、もっと美味しくなる
そもそも、なぜおせちを食べるのか。その「中身」と「箱」の意味を、改めて紐解いてみよう。
まず、料理の一つひとつに込められた「未来への祈り」。
- 昆布巻き:「よろこぶ」の語呂合わせ。
- 黒豆:日が焼けるほど「まめ(勤勉)に」働き、元気に暮らせるように。
- 数の子:たくさんの卵があることから、「子孫が絶えることなく繁栄するように」。
- 海老:長いひげと曲がった腰を老人に見立て、「長生きできるように」。
そして、料理を詰める「重箱(じゅうばこ)」にも理由がある。 これは、「めでたさが重なるように」との願い。「福」を積み上げる縁起物。
さらに言えば、おせちが日持ちする濃い味付けや冷たい料理中心なのは、お正月に台所で火を使わず、神様を静かに迎えるため。そして、毎日忙しいお母さんたちが「お正月くらいは休めるように」。そんな優しさの表れでもある。
ただ食べるだけではもったいない。 「昔の人の知恵と優しさが、ここに詰まっているのか」 そう思いながら箸を運ぶ。それだけで、普段の料理が心温まる「文化」へと変わっていく。

梅の花が届ける「やさしいお正月」
そんなおせちの文化を大切にする「梅の花」。その特徴とは。
「派手な飾りよりも、素材本来の『滋味(じみ)深さ』、つまり体に染み渡るような栄養と美味しさを大切にしています」と柏戸さんは胸を張る。
そのこだわり。
- 手間を惜しまない:定番の黒豆などは、じっくりと直火で時間をかけて煮込む。
- 名物の湯葉:梅の花の代名詞である「湯葉」を使った料理も、おせち専用に仕上げる。
- 飽きのこない味:噛むほどに旨みが広がる煮物は、「味がやさしくて、いくらでも食べられる」と毎年評判。
家族の人数に合わせてサイズが選べるのも、現代のライフスタイルに寄り添う嬉しいポイント。

新しい年を、温かい気持ちで
取材の最後、柏戸支配人からのメッセージ。 「おせちは『未来への願い』そのもの。ぜひ、今年は梅の花のおせちで、心温まる新年を迎えてほしい」
梅の花のおせちの詳しい内容は、四日市店の公式ホームページで確認を。
忙しい現代だからこそ、一年の始まりくらいは、日本の文化にゆったりと浸ってみる。 「幸せが重なりますように」と願いを込めて。 そんな贅沢な時間を、今度のお正月にぜひ。









