三重県四日市市は2025(令和7)年度の産業功労者や優秀技能者などを発表した。2月2日、市役所で表彰式をする。産業功労者には萬古焼業界の振興に尽力した有限会社藤総製陶所代表取締役の藤井健司さん(62)と住環境課題の解決などに貢献した有限会社トヨタ不動産代表取締役の豊田晃さん(65)が選出された。
市の発表資料によると、藤井さんは、萬古陶磁器振興協同組合連合会や日本陶磁器工業協同組合連合会の要職を歴任し、ペタライト鉱石不足については関係省庁や業界団体の連絡窓口として重要な役割を担うほか、代替原料などに関する調査研究を主導した。技術者養成研修「やきものたまご創生塾」で長年講師を務め。地場産業の即戦力育成にも寄与した。
社業では、代表取締役として「至高急須」などの機能や付加価値を追求した独自の製品を考案、萬古焼の新たな価値を創出した。自社製品の商標・特許申請にも力を入れ、知的財産権活用の好事例として、行政が主催するセミナーなどで講師を務め、伝統産業従事者の知的向上に貢献した。

豊田さんは、四日市商工会議所の不動産部会長を務め、空き家バンクや住み替え支援など時宜を得たテーマで勉強会を意欲的に開催し、地域社会の住環境課題の解決や部会員の成長に貢献した。宅地建物取引業協会では長年相談員を務め、地域の不動産業界の信頼向上に寄与した。
社業では、代表取締役として、土地の履歴などの不安材料を正直に顧客に伝える誠実な対応で地域の信頼を獲得し、不動産市場の需要の変化を的確にとらえることにより、業績を大幅に伸ばすことにも成功した。
優秀技能者は美容師など3人
永年、同一の職種に専念し、優れた技能で社会に貢献した優秀技能者には、美容師の杉本真理さん(63)、調理人の古川智久さん(52)、汎用金属工作機械工の梅田貢司さん(55)の3人が選出された。
杉本さんは多数のコンクールで入賞、優勝歴を持ち、ほぼ手技のみで髪の悩みを解決するとされる独自の「どりーむテクニック」が高く評価を得ているという。様々な美容関係団体でヘアメイクや着付けの指導もしている。
古川さんは、西洋料理を専門とする優秀な技術を持ち、学校法人古川学園で教えるなど人材育成に尽力している。全日本司厨士協会三重県本部四日市支部事業委員長を長く務めるほか、四日市とんてき協会会員としても数々の事業に参画している。
梅田さんは、マシニングセンタオペレーターとして長く従事し、加工方案の設定・NCデータ作成・刃物選定に関する豊富な経験を生かし、最適な加工工程を発案し、図面が要求する品質を具現化できるという。技能検定受験に関しての後進の指導にも尽力している。
障害者や高年齢者雇用を推進、男女の働きやすい環境づくり
障害者や高年齢者の雇用を積極的に進めている雇用優良事業所には、障害者区分で三岐鉄道株式会社が、高年齢者区分で警備業の株式会社幸枝が選ばれた。三岐鉄道は障害者雇用率が2,78%。株式会社幸枝の65歳以上の高年齢者雇用率は58.6%。
また、四日市市「男女がいきいきと働き続けられる企業」には鉄骨製造業の株式会社INATETSUが大賞に選ばれた。奨励賞は該当がなかった。
INATETSUは、性別によらない採用、能力本位の業務体制を確立するための資格取得支援を行っている。産業カウンセラーとの定期的な個人面談の機会を設けることによるメンタルヘルスケア、有給休暇や福利厚生などの申請もできる社内SNSの活用、急な欠勤・欠員の発生を部署を超えてフォローできる体制の確立などによって、従業員が仕事と家庭を両立できる環境が整備されているという。









