三重県四日市市で、住民主体で運行するコミュニティーバス「生活バスよっかいち」が2003年から走り続けている。2月23日には、幅広い世代に地域の足を知ってもらおうと、小学生が車体に絵を描くイベントが開かれた。

2002年、三重交通の近鉄四日市駅前〜垂坂公園間の路線が、利用者減少により廃止された。「買い物や通院の手段がなくなるのは困る」という声が自治会に届き、市に支援を求めたが実現しなかった。

そこで、「自分たちで新しいバスを走らせよう」と、当時羽津いかるが町自治会長だった西脇良孝さん(84)が中心となり、NPO法人「生活バス四日市」を設立。1乗車100円で運行を始めた。運賃に加え、協賛事業者の賛助金や市の補助金を活用しながら運営している。

2010年には、高齢化により買い物難民が生まれていた大谷台自治会の依頼を受け、路線を大谷台まで延伸。現在は運賃を150円とし、スーパーサンシ大矢知店を発着点に、四日市羽津医療センターなどを経由して近鉄霞ヶ浦駅まで、1日5.5往復している。サンシでは約50分停車し、その間に乗客が買い物を済ませて乗り継げる仕組みだ。
利用者の多くは高齢者で、通院や買い物で頻繁に利用する人も20人以上いる。定期券「生活応援パス」は西脇さんがパソコンで自作し、利用者に手渡している。

地域に欠かせない存在となっている一方で、若い世代にはあまり知られていない。大谷台小学校の4年生は授業で生活バスについて学んでおり、車内で流れるテーマソングも同学年の児童が歌っている。こうしたつながりから、子どもたちが車体に絵を描いてPRする企画が生まれた。羽津小学校、羽津北小学校にも声をかけ、各校15組のスペースを用意した。
参加希望者がたくさん集まった大谷台小4年の島岡明輝さんと舘海李さんは、一つの枠を2人で共有し、四日市ポートビルとこにゅうどうくんを描いた。参加した子どもの多くは、生活バスに乗った経験がないという。
保護者の一人は「自身は生活バスを利用したことがない」としつつ、「いなべ市に住む母が免許返納後にコミュニティーバスを使っている」と話す。自家用車なら10分の距離も、バスでは遠回りで1時間ほどかかる。それでも「自分で出かけるために、効率よく用事を済ませようと頭を使うので、脳トレになる」と前向きに捉えているという。
生活バスの関係者は、市に協力を求めた際、「スーパーサンシにはネット通販がある」と言われた経験を振り返り、「出かけて買い物をすることは運動にもなり、バスの中で人と話す機会にもなる。バスは単なる移動手段ではない」と語る。
西脇さんは「絵を描いた子どもや保護者は、このバスを知らない世代。これをきっかけに乗ってもらえたら」と期待を込めた。

生活バスよっかいちは、利用者の負担を軽くするため、協賛する企業を募っている。生活バスよっかいちの詳細は公式サイト(https://www.rosenzu.com/sbus/)で発信している。









