四日市メリノール学院の英語講師、黒田加恵さん(77)はこのほど、『四日市「校歌」ものがたり―歌い継がれる校歌を訪ねて―』を完成させた。「校歌は子どもたちが歌うことで、地域を元気にする。この一冊を読んだ方に、それぞれの校歌を思い出してほしい」と思いを話す。
四日市文化まちづくり財団が発行する「文化展望・四日市 ラ・ソージュ」(現在は休刊中)で、連載「歌い継がれる校歌を訪ねて」を2007年から8年間担当していた黒田さん。このほど完成した本は、連載時に掲載された記事に四日市工業高校の校歌を加えた市内の小中高のうち、22校の校歌について、作詞作曲した人物や校歌の誕生に関わった人たちを中心にまとめた。
黒田さんが「校歌」に興味を持つようになったきっかけは、自身の子ども4人が通っていた四日市市立三重西小学校(同市三重)の校歌。子どもたちが校歌を口ずさむことで、黒田さんも一緒に歌うように。当時の流行した歌やアニメソングにまじって、校歌は欠かせないものになっていた。ラ・ソージュの編集に携わるようになり、「校歌について調べてみたい」という思いが沸き起こった。
取材のため、それぞれの校歌に関係する資料を調べ、はじめのうちは作詞、作曲した人物、歌詞についてなどが記事の中心だった。連載が進む中で、地域の人、歴史など校歌にゆかりある数々の物語に魅了されていった。
冊子は、A5判サイズで、115ページ。非売品だが、四日市市内では、四日市市立図書館、あさけプラザで閲覧できる。
何世代にも渡って歌い継がれいく校歌。時代を反映したものもあり、いつまでも変わらない物語がそれぞれに込められている。校歌の歌詞はもちろん、歌う子どもたちの物語もある。黒田さんは取材中に地域の人や子どもたちに出合った。取材を始めたときから18年が経ち、「取材で私に話を聞かせてくれた子どもたちももう大きくなっているだろう―そんな思いを持てるのも、校歌のおかげですね」と本を手に微笑んでいた。