使い捨てコンタクトレンズ空ケースの回収で協定、四日市市とHOYAアイケアカンパニー、高校生の請願から実現

, ,
【協定書を交わした竹中彰カンパニープレジデント(右)と森智広市長=四日市市役所】

 HOYA株式会社アイケアカンパニー(本社・東京)と三重県四日市市が8月14日、使い捨てコンタクトレンズ空ケースの回収に関する協定を結んだ。回収した空ケースを再生に回し、それによって得られる対価を全額、日本アイバンク協会に寄付するもので、三重県内の自治体との協定は初めてという。

 市内の暁学園暁中学校・高等学校に通う高校生の岩本昊姫さんがリサイクルを進めたいと願って市議会に提出した請願がきっかけになり、この日の協定に発展した。市によると、高校生の請願から施策につながった例は少ないという。

総合会館など3カ所に回収ボックスを設置

 協定の締結式は市役所であり、HOYA側から竹中彰カンパニープレジデント、髙田哲也アイシティ本部中部2エリアマネージャー、川田沙央里カンパニープレジデント室ecoプロジェクト担当が出席。竹中さんと森智広市長が協定書に署名した。

 竹中さんは「使い捨てコンタクトレンズの空ケースはほぼすべてがポリプロピレンの素材で作られており、リサイクルに適しています。それでも、今のリサイクル比率は2%ほどで、まだ多くがごみになっています。これからも、みなさまの協力をお願いします」とあいさつした。森市長は「高校生の声をこうしてつなげられたこともアイケアカンパニーさんの存在が大きい」とお礼を述べた。

 協定により、HOYA側が回収ボックスを市に提供、市は当面、市役所本庁舎5階の生活環境課前、総合会館1階、総合体育館受付棟に置く。回収ボックスに市民から寄せられた空ケースをHOYA側に引き渡し、リサイクルに回してもらう。リサイクルされた空ケースは細かく砕かれ、ボールペンや家電、自動車などの素材に使われているという。

リサイクルされたポリプロピレンは加工もしやすいという

リサイクルの対価は日本アイバンク協会に寄付

 HOYA側の説明や資料によると、空ケースの回収は2010年から、まずは販売店で始め、2013年から企業や学校などとの協力が始まったという。現在、コンタクトレンズの約95%が使い捨てレンズの利用とみられており、リサイクルが進めば、その効果は大きいという。自治体との協定は2019年の東京都東大和市を第1号に全国へと広がり、四日市市で53番目。市区町村との協力では55番目になるという。

回収ボックスを紹介する竹中彰カンパニープレジデント

 これまでの回収量は2025年3月時点で累計751.68トン、公益財団法人日本アイバンク協会への累計寄付金額は1640万8968円、二酸化炭素削減への貢献は2074.64トン(東京ドーム124.2個分)に相当するという。日本アイバンク協会への寄付は、角膜移植を待つ人とドナーを結ぶ役割に活用されている。

 請願を提出した岩本さんは、この日はクラブ活動の遠征があって締結式には出られなかったが、代わりに伊藤豪康教諭が出席して見届けた。2024年9月に本会議で採択されてからほぼ1年でのステップアップになり、伊藤教諭が連絡すると、「請願を出して、ようやくここまで来ることができた」などと、とてもうれしそうだったという。

こんな投稿もあります。