大規模な浸水被害を出した三重県四日市市の「くすの木パーキング」の復旧や今後の対策などを話し合う「四日市市地下駐車場施設復旧検討委員会」の初会合が9月26日開かれた。国側は、故障が指摘された電動式の止水板について、2021年12月には故障を把握していたものの、修繕の役割分担について管理会社と打ち合わせに入ったままにしていて、対策をしなかったと明らかにし、「おわび」した。
委員会は四日市商工会議所の会議室であり、三重大学大学院工学研究科の川口淳教授を委員長に、名城大学理工学部の松本幸正教授、国土交通省中部地方整備局三重河川国道事務所、三重県、四日市市などの委員らが出席した。
管理会社からの定期報告で故障を認識
三重河川国道事務所の大吉雄人所長は、大雨になった9月12日より前に故障していたとされる車両出入口の電動止水板について、国が整備した地下駐車場(四日市地下駐車場)の管理運営を任されているTEI株式会社から、2021年11月の月報を示された同年12月の段階で故障を認識したと明らかにした。
この報告を受け、2022年1月には同事務所とTFIが打ち合わせを開いたものの、お互いの修理に関する役割分担について合意などが得られず、そのままになっていたという。両者が協議中であったとしても、別に大雨への対策を考えておくなどもできなかったとして、大吉所長は「おわびしたい」と話した。
三重河川国道事務所の伊藤秀則副所長の説明によると、TFIからの月報には、その後も故障の記載はあったというが、異動などで事務所の顔ぶれは変わっていくこともあって、つい最近での職員の故障に対する認識がどうだったかは詳しく分からないとしている。
「全国の地下施設にも参考となる重大事案」
川口委員長ら検討委員会の委員たちは、地下駐車場も視察し、中央監視室での浸水状況、排水ポンプの状況、搬出作業の支障となる浸水で浮いた車が重なっている様子などを見て回った。電動止水板が設置された車両出入口でも説明を受けていた。
川口委員長は「123.5ミリの猛烈な雨で急激に浸水し、交替制の2人態勢のなかでは十分な止水施設の設置の余裕がなかったと思われるが、最近の気候変動により、こうした雨がレアとはいえず、今後、どのような対策を取るべきかを考えることが、委員会の役割でもある。全国の地下施設の参考にしてもらいたいと考えている」などと話し、今回のケースを重大な事案と位置付けている認識を示した。
