三重県四日市市の市立中部中学校で10月2日、地元の企業家と生徒が一緒になって課題解決を考える授業があった。「ものづくり」の中心地をうたう四日市だが、地元で活躍する企業と生徒が真正面から向き合う授業は多いとは言えず、市教育委員会は、こうした授業を市内全体へも広げたいと考えだ。
与えられた課題は「竹害」
授業は2年2組の教室であり、生徒約30人と、「授業支援者」として、三重県中小企業家同友会の6人(中村製作所の山添卓也さん、東海テクノの市田明さん、前田テクニカの前田昌彦さん、前野段ボールの前野大喜さん、わくわくスイッチの中村憲和さん、日パック工業の小石原祐子さん)らが参加した。
生徒に与えられた課題は「竹害」。竹製品の材料としての需要が高まらず、食用も外国産に押されるなど、四日市市内でも荒れた竹林は多く、「これを何とか活用するアイデアを考える」のがミッションだ。
グループごとにさまざまなアイデア
生徒たちは、竹林の現状と、一緒に考えてくれる支援者の会社がどんなものをつくり、どんな活動をしているかの動画を見て、グループに分かれて意見を出し合った、支援者は、できるだけ、生徒の自主的な発言を伸ばすよう、生徒たちにリードを任せた。

グループごとの発表では、竹墨を使うシャープペンシル、タケノコチップにして給食にも採用、竹で飛行機などをつくり鳥人間コンテストのような挑戦を、などのアイデアが出た。企業家からは「満点、主体性をもって生徒からアイデアが出てきた」「これほど、たくさんの意見が出るとは驚いた」などの感想が聞かれた。教師からは「大人と真剣に話して、いつもとは違う表情が見られた」との感想もあった。
企業にとっても刺激的なひととき
今回の授業は、技術科の「ものづくり」の単元で行われた。「ものづくりの四日市」と言いながら、技術の授業で地元の企業とのつながりはそれほど多くもないため、企業家との協力で、課題に向き合うことを生徒に経験してもらうことを考えたという。企業家にとっては、型にはまらない中学生の発想が刺激にもなり、タイアップ授業が実現したという。