三重県菰野町のパラミタミュージアムで10月3日、「横山大観と菱田春草 近代日本画を築いた二人の挑戦」が始まった。89歳まで生きて大家となった大観と、才能を発揮しつつも36歳の若さで生涯を終えた春草が、新しい日本画を模索する苦しみから、目指す姿に近づいていく作品の変化を、2人の人生に付き添うようにして見ることができる。11月30日まで。
春草が生まれた長野県にある水野美術館のコレクションから展示した。作品数は68点。うち3点が前期と後期で入れ替わる。大観の代表的な作品のひとつ「無我」は前期(11月3日まで)の展示になるという。
東京美術学校で親交、新しい日本画をめざす
大観は1889(明治22)年、春草は翌年、東京美術学校(現東京藝術大学)に入学し、親交を結んだ。二人は校長を務めた岡倉天心に光や空気を表現する課題をもらい、従来の日本画にはない輪郭線を描かない「朦朧体(もうろうたい)」と呼ばれた作品を発表する。これらは日本では酷評されたが、海外での展覧会では好評で、続々と売れ、2人はめざす道の正しさを確信。さらに色の使い方などの技法を推し進め、画家としての評価を高めていった。
若くして亡くなった菱田春草
しかし、春草は腎臓炎による失明の恐れを宣告されるなどし、1911(明治44)年に若くしてこの世を去った。大観は同志ともいえる春草の死を悼んだという。


展覧会では、2人が昔ながらの日本画を描いていた学びの時代から、新たな日本画を創造、模索し、やがて発展させていく過程を7章に区分けして展示した。第5章から第7章は大観のみの作品になっている。
会期中、10月26日午後2時から、水野美術館学芸員の野口春花さんが記念講演をする。11月2日にはフルートとピアノによるパラミタコンサートがある。入館料は一般1000円、大学生800円、高校生500円、中学生以下は無料。パラミタミュージアムの所在地は菰野町大羽根園松ケ枝町。