三重県中小企業家同友会主催の「第1回人を生かす経営フォーラム」が11月17日、四日市市のプラトンホテル四日市で開かれた。桑名市に本社があり、給食や弁当などを扱うオーケーズデリカ株式会社の杉本香織社長が、社員の個性がごった煮になってよい会社をつくる「おでんのような経営」の実践を紹介するなど、社員と経営者が共に成長して会社をよくすることをテーマに話し合った。
主催者によると、これまで年に一度、学びの場としての「経営研究集会」を開いてきたが、同友会が大切にする「人を生かす経営」を一歩進め、社員を巻き込んで共に会社の経営を創っていくことに取り組もうと、名称と共にフォーラムとして生まれ変わらせたという。
社員を下から支えるのが社長
記念講演の講師を務めた杉本社長は、父が創業した前身のOK給食を兄とともに現在の会社にし、兄の急逝により三代目の社長になった。強いリーダー型の父に比べ、自分に何ができるかを考えた時、社員を社長が下から支える逆ピラミッド型の組織をめざすことにした。
「社長が1番できる人でなくていい」と、社員の能力や主体性を伸ばし、生かすことで、会社での幸福度を高めてもらう。それぞれの社員を知る努力を重ね、面談の回数を多くし、スピーチコンテストなど社員が考えていることを発表してもらう機会をつくるなど、多くの実践が紹介された。

「そわかの法則」を社員と共有
分科会は、有限会社丸井食品三重工場の西山典孝社長の「暴走と挑戦の10年~経営指針書で導いた“三代目社長”の実践記」、株式会社佐野テックの佐野貴代社長の「変革する組織~佐野テックの『カイゼン』と変革の歩み」の二つの報告と討論をした。
このうち、西山社長は、会社の経営を建て直すため、自ら営業に駆け回り、ハラール、グルテンフリー、ヴィーガン、有機JASに取り組むなど海外に目を向けたあらたな商品を生み出したことを紹介した。一方で、何でも自分で切り開いてきたことで、若い世代の社員を思うように育てられなかった反省を感じ、最近は経営指針書をつくり、自分の考えを形にして社員に説明するようになったという。そのひとつとして、「そわかの法則」として、「そうじをする(環境を整える)」「笑う(笑顔やユーモア)」「感謝」を大切にし、社員と共有するようにしていることを紹介した。









