【四日市公害裁判判決から50年】 豊かな自然を育む海になった

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 四日市公害の歴史を語り継ぐ「なたね通信」代表で、環境調査や自然観察会を企画する榊枝正史さん(37)は、かつて公害被害を受けていた塩浜地区の今の状況を「50年前とは違って豊かな自然が見られる」と話す。【自然環境について語る榊枝さん=菰野町潤田で】

 大学院で公害問題を研究していた榊枝さんは、四日市市の環境を伝える冊子「なたね通信」を発行し、2010年に同法人を立ち上げた。冊子はウェブ掲載に変わり、課題の解決のために、環境調査の結果を踏まえ市や県に政策提言をし、自然観察会を開き環境教育を行っている。

 また、株式会社東産業(同市野田)の社員である榊枝さんはSDGsの一環で、河川や調整池の工事予定地で、その場所の生態系を調べ環境に配慮した施工方法の提案をしている。四日市市や菰野町の池の工事の際にも調査を実施、アオスジアゲハやアマガエルなど多くの生物の姿が確認でき、訪れた人から「トンボが増えてよかった」という声もあるそうだ。

 四日市市のエコパートナーで任意団体である同団体。年に数回、同市塩浜町の鈴鹿川河口で自然観察会を開いている。公害被害を受け認定患者が多い地域だったが、現在はユリカモメなどたくさんの野鳥が飛来、四日市市で見られると言われる200種のうち150種が確認できるという。水平線にタンカーが浮かび、コンビナートが隣接する場所で、潮干狩りや海釣りを楽しむ人の姿も見られる。

 榊枝さんは「かつて油にまみれた魚が死んでいた場所が豊かな自然を育む海となり、経済の発展と自然の共存を感じる。生き物を見に来て自然を楽しんでほしい」と笑顔で話した。鈴鹿川河口の現在の状況をインターネットを介したバーチャル空間で公開している。下記の二次元バーコードから読み取ってサイトを閲覧できる。