富洲原には住めない⁉

11037
「富洲原には住めない」が収録されたレコード盤とジャケットを紹介する垣内さん夫妻

四日市市域の最北東に位置する富洲原。1970年代、この地区を題材にした曲「富洲原には住めない」が作られ、市内を中心に流行した。同市新々町で喫茶店を営む垣内克己さん(72)、紀さん(72)夫妻は、曲をヒットさせたアマチュアバンド「スヌーピー」の元メンバー。近年、インターネットで曲を聞き、驚いたという。

レコード曲がネットに 元メンバー驚き

スヌーピーは、当時市内で活動していた3つのバンドが、レコード制作のためにコラボしてできた7人組グループで、3年間ほど活動。垣内さんはリードギター、紀さんはキーボードを担当し、夫婦で参加していた。レコーディング直後にメンバーの1人が病死したため、追悼の意味も込めてレコードを世に出した。「富洲原には住めない」はB面に収録。歌詞では富洲原について「娯楽設備は全然ない」「春の小川には鯨も泳ぐ」「近鉄線もたまに止まる」などと歌われ、比較される県内の地名がいくつも登場する。曲は「石榑峠の萬屋」というグループの同名曲をカバーしたもので、富洲原について石榑峠の萬屋は「都会過ぎて住めない」と歌うのに対し、スヌーピーは「田舎過ぎて住めない」と意味を180度変えて歌っている。

音楽活動に明け暮れていた頃の垣内さん(左)
垣内さんによると、当時ライブで人気があった「北の泉」という曲をA面に収録して約2千枚を制作し、ライブ会場などで販売した。ところが、スーパーなどで流れる有線放送に「富洲原には住めない」が採用され、1970年代後半に5年間ほど流れ続けたことで、B面の曲の方が広く知られることになったという。10代、20代と音楽に明け暮れた垣内さん夫妻は、30歳の時に喫茶店「ぴーぷる」をオープン。昭和の雰囲気をそのままに、1日中モーニングを提供する店を仲むつまじく切り盛りしている。店内では美しいままのスヌーピーのレコード、垣内さんが高校時代から愛用していたエレキギターも保管されている。数年前、若いころの垣内さんを知る客が、「お前らの曲がアップされとるで」とスマートフォンの画面を示した。「ユーチューブ」に「富洲原には住めない」が投稿されていたのだ。垣内さんは「誰がアップしたのかは分からないが、まさか今になって聞けるようになるとは」と驚きつつ、「ブルースのアレンジを加えてこだわった。再び聞けるようになって、なんだかうれしい」とほほ笑んでいた。※2022年10月1日(212号)発行 紙面から