【ロングライフ】垂坂公園の魅力発信 緑の会羽津・田中逸夫さん(86)

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 人に会ってしゃべるのが健康の秘訣という田中逸夫さん(86)。「垂坂公園・羽津山緑地」(四日市市垂坂町)を維持管理するNPO法人「緑の会羽津」の顧問を務める。郷土の歴史や神社仏閣にも造詣が深く、名所を訪れ古(いにしえ)の時代に思いを馳せている。【写真を撮る田中さん=四日市市垂坂町で】

 会社員を経て飲食業を営んだ後、造園業、シルバー人材センターで働いた。垂坂公園・羽津山緑地が開園した。2000年に自分たちで公園の維持管理をしようと、同法人を立ち上げた。樹木の剪定(せんてい)や除草掃除、芝生管理や遊具の点検などの作業のほか、園内の植物や昆虫、鳥などの写真を撮って、その説明を記して掲示板に貼り「公園の見ごろと見どころ」を伝えてきた。近隣の小学校で、近くを流れる米洗川の歴史や自然を学ぶ「米洗川探検隊」の講師も務めた。    

「まず寄ろうに」

 昨年、理事長を退任したが、広報担当として週に数回公園に向かい、今の見どころを写真に撮りフェイスブックに投稿し、公園の案内の掲示物を作成する。法人のスタッフは「田中さんと話すと、元気をもらい、自分も頑張ろうと思う」と話した。

 歴史に興味があり、羽津地区郷土研究会や、四日市案内人協会にも参加。歌川広重が描いた東海道五十三次の三重川の現在地や久留倍官衙遺跡を友人と訪れ、歴史の息吹を感じ取るのも楽しみのひとつだ。

 4年前、長年連れ添った妻を亡くした。「自分が先に逝くと寂しがるので、よかったかな」と前を向き、食事洗濯などの家事も自分でこなす。バランスの良い食事を意識し、焼酎を嗜み、休肝日も設けている。妻とは三途の川の橋のたもとで待ち合わせをしているそうで、それまでは、人生を楽しむという。「高齢者は家にこもりがちになるが、外に出て皆と話すと元気になれる。皆で歴史散策をする機会をつくりたい。まず寄ろうに」と笑顔で語った。

(2023年1月10日発行 YOUよっかいち第215号)