年収1000万円の待遇で「ふるさと納税」戦略家求む、四日市市が募集中

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 三重県四日市市が、ふるさと納税の寄付受入額を増やすため、返礼品開発などに取り組む戦略家を募集している。1月29日が応募締め切りの「ふるさと納税・シティプロモーション戦略プロデューサー」で、採用は1人。民間企業などで法人営業や商品企画などの業務を20年以上経験したことがおもな応募資格で、年収1000万円程度(諸手当含む)の給与で待遇する。寄付額と税控除額の差で約8億円の赤字にふくらんだ市の現状を打破したいと打って出た。【ふるさと納税の専門職を募集している四日市市役所=四日市市諏訪町】

 任期付き職員で、採用は4月1日、任用期間は2024年3月31日まで。5年までの範囲で任期を更新する。第一次試験は書類選考(申し込み時の提出書類による)、第二次試験は2月19日の予定で、プレゼンテーション面接を行う。申し込みは原則、電子申請(インターネット)のみで、市のホームページから募集要項などが見られる。ふるさと納税の専門職は新潟県三条市なども募集し、成果が出ているという。(戦略プロデューサー募集を伝えるパネル)

 ふるさと納税は2008年から始まったが、四日市市では2015年度の寄付受入額に対し、他自治体へのふるさと納税で生じる個人市民税の税額控除額が約1億3000万円上回り、財源としての赤字が問題化。2017年4月に「ふるさと納税対策本部」を設置し、「ふるさと納税に関する非常事態宣言」を出すなど、返礼品の開発などに力を注いできた。

 もともと、産業都市の四日市市は一次産品の返礼品には弱点があると考え、コンビナートの夜景クルーズ、四日市あすなろう鉄道の駅長体験、墓参りの代行や墓の掃除など、体験ものも含め、職員はいろんなアイデアを絞ってきた。

 現在、四日市市の返礼品のメニューは800を超えているという。九鬼産業のごま油、萬古焼の土鍋のほか、宮崎本店の「キンミヤ焼酎」、中村製作所の「ベストポット」など人気の品もあり、カタログを開くと「伊勢水沢牛」「四日市梨」「四日市メロン」、大矢知の手延べ冷や麦、「大とんてき」、天然ハマグリ、かぶせ茶、「日永うちわ」など、市民も驚く品ぞろえともいえる内容だ。(カタログは現在、最新版を制作中という)

 しかし、それでも、受入額と控除額との差額による赤字はふくらむ一方で、2017年度の収支差が約3億3450万円の赤字だったものが、2019年度には4億6370万円の赤字になり、2021年度には7億9710万円と、ついに約8億円の赤字にまでふくらんだ。このため、あらたな視点で状況を打開してほしいと、今回の専門職募集に踏み切ることになったという。

 現行の「ふるさと納税」制度では、特産品のない自治体は不利など、全国的には批判的な声もある。ただ、制度が存在する以上は、その現実の中で最大限の努力をする必要があり、市は専門職の募集と並行して、ふるさと納税に関する組織強化も考えている。