「ホンゴウソウ」発見の楠でその姿を 牧野富太郎が命名の植物 四日市市

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 NHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルで、植物学者の牧野富太郎(1862-1957)が命名した多年草の腐生植物「ホンゴウソウ」。四日市市楠町本郷の樹林で120年前に発見されたが、現在は確認されていない。本郷での再発見を目指す専門家らが、かつての牧野のように足しげく調査に通っている。【ホンゴウソウと牧野富太郎博士】

 ホンゴウソウは漢字で「本郷草」と書き、同地区出身で四日市尋常高等小学校(現・中部西小)に在職していた今井粂蔵さん、植松栄次郎さんらによって1903(明治36)年に発見された。地上から出る茎の長さは3から5センチ、鱗片状の葉は長さ1・5ミリと極めて小さく、7月から10月に茎の先端に雄花、その下に雌花をつける。薄暗い林の中、落ち葉に溶け込むように生えるため、見つけることは困難だという。発見場所の樹林は、その後の河川工事でなくなってしまっているという。記録によると、牧野は少なくとも8回は四日市市を訪れ、植物調査をした。

 2018年、楠交流会館に保管されていた植物標本約200点が、四日市立市博物館に移管された。ホンゴウソウの標本もあり、今井さんが作成し「牧野富太郎先生命名」の朱印があるものもある。
 同博物館に標本が移ったのをきっかけに、学芸員の森拓也さん(70)は昨年、開花時期に合わせて7月から9月まで休日を利用して本郷へと足を運んだ。猛暑の日も雑木林などで探したが、見つけることは出来なかった。地面を這って探す様子に、地元の住民から「何をしているんですか」と不思議に思われたという。
 以前、鳥羽水族館で世界で初めて、ジュゴンの長期飼育を成功させた森さん。海洋生物が専門だが、専門家としての探求心に火が付いた。生きた実物を見るため、名古屋市東山動植物園にも足を運んだ。花が咲いた姿は「本当に美しく、神秘的だ」と振り返る。

 森さんによると、東山動植物園の学芸員も本郷へ調査に訪れているそうで、「こちらが先に見つけたいですね」とニッコリ。森さんは「ホンゴウソウを探しています」と書かれた掲示を地元の楠歴史民俗資料館に出し、地域住民や来館者に再発見への協力を呼び掛けている。
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 四日市市立博物館では、牧野と四日市との関わりを紹介する特別展「牧野富太郎が見た四日市~120年の時を超えた植物標本~」が5月7日(日)まで開かれている。観覧無料。月曜休館(1日は開館)。
 問い合わせは同館TEL059・355・2700まで。

【ホンゴウソウについて話す森さん=四日市市安島】